なぜこんな病気になるの?
1.飲水量不足
水分をたくさん摂って、どんどんオシッコとして排出していれば問題はありません。
2.食餌内容と食べさせ方
マグネシウムが多すぎる偏った栄養素のフード、消化吸収の悪いフードなどネコの身体のことを理解して作られていない食餌内容はさけましょう。
多くのネコの尿結石は、ストルバイト(三重燐酸塩=リン酸アンモニウムマグネシウム)です。マグネシウムやリンの摂りすぎ(バランスの問題)が尿石症の一因とも言えます。
また、尿中に排出されたミネラルが多くなり過ぎ、尿のphがアルカリ性=6.5以上になると形成されやすくなります。
食餌を取ると、胃酸が分泌されます。その反動で体液はアルカリ性となり尿のphも上昇します。ですから、一日中ダラダラ食べて寝て食べて~、を繰り返していると、phがあがったままになり、膀胱でできたストルバイト結晶は沈殿し、徐々に結石化する傾向が高まります。
シュウ酸カルシウム結石は、マグネシウム不足やカルシウムの摂りすぎや、高タンパクの食餌内容、尿酸性になるとクエン酸が減少しできやすくなるといわれています。
どちらかというと、シュウ酸カルシウム結晶は、高齢のネコによくみられます。
消化吸収の悪いフードは便の量を増やしやすいので、便に水分を取られ、ますます尿は濃縮してしまいます。
3.運動不足と肥満
元々濃縮されたオシッコは結晶化しやすいものです。
尿の中ではマグネシウム、カルシウム(ミネラル)、アンモニア、シュウ酸、尿酸などが結合し結晶になります。
よく動いて、適量以上の水分を摂っていると、膀胱の中の結晶は結石になる前に排出されますが、特に温度差の激しい季節や冬場、運動量が少ない肥満傾向のネコは、尿石になりやすい傾向が高まります。
また、リンは運動することで消費されるといわれていますので、運動不足だとリンの消費も上手に行われません。
飲水量が減る&あまり動かない→尿の濃度がどんどん高まる→膀胱の中の結晶が結石化しやすい
ということです。
4.トイレを我慢する
トイレが汚かったり、落ち着いてトイレを使えなかったりすると、ネコは用を足すのを我慢してしまいます。
トイレの回数が減る→膀胱の中の尿がどんどん濃くなっていく→ますます結晶化しやすくなる
ので、ネコが嫌がらないようにトイレを清潔に保って、安心してトイレを使える環境を用意してあげてください。
※トイレの数はネコ+1以上が理想
5.性格によっても…
少し神経質なところがあったり、感受性の高い子、我慢してしまう性格の子の方がなりやすい傾向が高いようです。
というのも、私の知っている発病ネコの場合、「夫婦げんかをした後に発病」、「身内に不幸があって忙しくしているときに発病」「飼い主が旅行で留守をし帰宅したら」というケースがありました。
いつもと違う雰囲気を察知したネコは、ストレスを感じじっとおとなしくする方がよいと判断し、それによって結晶が結石化したのかもしれません。
6.体質的なもの
泌尿器系の病気自体は遺伝するものではありませんが、親から受け継いだ遺伝的要素の中に、尿石ができやすい体質的なもの遺伝されていく可能性があります。
同じ環境で、同じ生活・食餌をしているネコの中でも結石ができやすい子、できにくい子、とあるのは、元々結石を作りやすい体質が関係しているのではないでしょうか。
7.そのほか
以前は若いうちに去勢手術をすると、尿管が細くなりFLUTDにかかりやすいといわれていましたが、最新の研究発表では、若いうちの不妊手術をFLUTDの因果関係はないとされています。
オスネコとメスネコの場合は、オスネコの方が尿管が長く細いので、オスネコのFLUTDの方が断然多いですが、メスネコにも見られる病気です。
次回は実際に来院するときのメモ、診断と治療
そして、FLUTDを発病したネコの飼い主さんからのアドバイスを交えた病後の管理などについてです。