猫の『噛む』『ひっかく』に対して理由や対策を解説

猫の噛み癖・ひっかき癖はなるべく早めに直したいもの

猫の噛み癖・ひっかき癖はなるべく早めに直したいもの


初めて猫を飼った人が最初に悩むことのひとつが、猫が噛んだりひっかいたりすることではないでしょうか。ここではなぜ猫が噛んだりひっかいたりするのか、噛まれたりひっかかれたときにはどんな対応をすればよいか。またその被害を少なくするためには、どのようにしつければよいかをご紹介します。

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猫が噛んだりひっかいたりする理由

猫が噛むのは狩猟本能?

猫が噛むのは狩猟本能?

■猫が噛むのは狩猟衝動によるもの
そもそも猫は狩猟動物で、非常に有能なネズミハンターです。しかし、一緒に暮らす私たちの現代社会の環境変化に伴い、イエネコがネズミを捕獲する機会は、少なくなっています。
環境が変わっても猫の狩猟本能は残っており、猫はこの狩猟本能を遊びの中で満足させようとします。例えばねこじゃらしに飛びついたり、ボールを捕まえ猫キックしたりするじゃれ方は、狩猟衝動によって本能を刺激され、ねこじゃらしやボールを狩りの獲物・ターゲットとして遊んでいるのです。 

猫は、本能を刺激する動き・音・匂いを感じ取ると、空腹でなくても獲物を狙う動作をします。
ターゲットを狙う猫は身体を低くかがめ、お尻を少し持ち上げてシッポの先端を動かし、足踏みしながら襲いかかるチャンスを待ちます。「今だ!」と思ったタイミングで猫はターゲットに飛びかかり、前脚で抱え込み噛みつきます。後ろ脚を使って猫キックをしたり、前脚や口でマリのように高く放り投げたり、猫は様々な動きでターゲットをおもちゃにして遊びながら狩猟本能を満足させます。

 
猫が毛糸玉に飛びつくのは狩猟本能を刺激されているから

猫が毛糸玉に飛びつくのは狩猟本能を刺激されているから

 


■猫が噛んだ時の状況を判断し、対応することが大切
お腹が空いていなくても、本能を刺激されると飛びかかっていくのが猫。そう考えると、猫が噛んだりひっかいたりするのは、ある意味当たり前の行動なのです。しかし、猫に慣れていない人は、猫が遊びの延長で軽く噛んでも「噛まれた!」と大騒ぎしがちです。猫の牙や爪を恐れるあまり、噛まれることに過敏に反応すると、猫は噛むと自分の思い通りになると思ってしまうことがあります。結果、猫主導型の生活を強いられることにもなりかねません。どの程度に噛んだのか、噛んだ状況と意味を冷静に判断し、それにあう対応をすることが大切です。

  1. 眠くてむずかり噛むことも
    眠たくなってきた子猫は人間の子供同様、身体が熱くなってむずかり、やたらと噛みつきたがります。子猫がしつこく噛みつき始めたら、眠たくなってきたんだなと思って間違いがないでしょう。
  2. 乳歯が永久歯に生え替わる時期に噛みたがる
    乳歯が永久歯に生え替わり始める生後3~4ヶ月頃になると、歯がむず痒いのかよけいに噛みつきたがるようになります。

 

猫に甘噛みを覚えさせる方法

猫は親兄弟と過ごすことで噛み方やひっかき方の加減を身につけていきます。

猫は親兄弟と過ごすことで噛み方やひっかき方の加減を身につけていきます。

■親猫や兄弟猫とじゃれあううちに甘噛みを覚える
子猫の目は5日~10日前後で開いていきますが、動くものを目で追うことができるようになるのは生後3~4週頃からです。足元がおぼつかない頃から、お母さん猫の揺れるシッポにじゃれつき、遊びながら動くものに素早く反応することを学んでいきます。兄弟猫がいれば、子猫たちは追っかけっこをし、飛びかかり、前脚で抱え込んで後ろ脚で猫キックして噛みつき合います。興奮しすぎて本気で噛みあい、痛い思いをすると、大きな声で悲鳴や抗議の鳴き声をあげたり、もっと強く噛み返したりという攻防をする中で、仲間同士の限度として『甘噛み』という加減を体得していきます。

子猫同士の遊びは狩りの本能を満足させ、その能力を磨くと同時に、猫の社会性や性行動の勉強にもなっていて、猫の心と体の正常な成長に必要です。こうした理由から、可能であれば新しく迎え入れる子猫は最低生後2~3ヶ月まで、親兄弟との生活を経験してからの方が望ましいです。

■飼い主が甘噛みを覚えさせる
幼いうちにひとりぼっちになってしまった猫の場合、親兄弟との関わりの中での社会勉強の基礎ができていませんから、噛む加減を知りません。
飼い始めた子猫が本気で噛みついてくるようでしたら、あなたがその子猫の親や兄弟になったつもりで、子猫と遊びながら教育、しつけをつける必要があります。猫をしつける時の叱り方については、『愛猫のしつけの基本』にも書いた通り、決して体罰などを与えてはいけません。猫の性質によっては、軽い鼻ピンなどが効果的な場合もありますが、基本的に人間の手を使った体罰は避けるべきです。
甘噛みでも子猫の歯は針のように突き刺さり、非常に痛いものです。
噛まれたときは絶対に指を引き抜いてはいけません。引き抜くと、歯が当たって指が切れてしまうことがあります。また決して本気で相手をしてはいけません。

■手を噛まれた時のしつけ方
猫に噛まれたら指を上あごに押しつけます

猫に噛まれたら指を上あごに押しつけます

 
  1. 「痛い!」と猫の目を見て言う
    猫に手を噛まれた時は、噛まれている指をそのまま喉の奥まで突っ込んだり、手をパーにして掌で猫の口を押さえ込んだり、歯が強く当たったときは大きな声で「痛い!」と猫の目を見て叫びます。噛まれるたびに「痛い!」と繰り返していると「痛い!」と言う声で加減してくれるようになったり、歯を離して舐める動作に転じてくれるようになります。子猫は飽くことなく噛みつきや猫キックを繰り返しますので根比べです。
     
  2. ぬいぐるみにすり替える
    しつこく、しつこく噛みついてくるときは、猫の身体と同じくらいの大きさのぬいぐるみを用意しておいて、それにすり変えるのも効果があります。猫はそのぬいぐるみを抱え込んで、猫キックして思いっきり噛みつくでしょう。
     
  3. 猫自身のしっぽや前脚を自分で噛ませる
    猫のしっぽや前脚を猫の口元に持っていき、それを自分で噛ませてみるのも効果的です。猫の口に猫の前脚やしっぽを無理矢理入れて、上下の口を押さえて自分で噛ませてみるのです。噛んだら痛いんだよ、と自分の身体で覚えさせます。
     

猫がひっかく時の状況と対応の仕方

 
猫がひっかく状況を冷静に判断しましょう

猫がひっかく状況を冷静に判断しましょう

■猫が前脚でひっかく時の状況
猫は興味を引くものを確かめたり、自分の方に引き寄せるときに前脚を使います。前脚でひっかかれる時の状況は以下のようなものではないでしょうか?

<猫が前脚でひっかく時の状況例>
  • ご飯を待たせている
  • おもちゃ遊びをしている猫がおもちゃをつかんだつもりで人の手に当たってしまった
  • 猫が遊びモードで人の足を獲物に見立てて飛びかかってきた
  • 飼い主さんが猫の前脚でひっかかれてケガをする状況は上記のようなものが多いようです。

■猫が後ろ脚キックでひっかく時の状況
猫にひっかかれて人が深い傷を負うのは、前脚より後ろ脚のキックによるものが多いです。

<猫が後ろ脚でひっかく時の状況例>
  • 猫が何かに驚いてダッシュで逃げる時
  • 猫を長い時間撫でて、猫が「もうやめて」とサインを出しても触って怒らせた時
上記のような状況の時、飼い主さんが後ろ脚の瞬発力で打撲のように蹴られ、ミミズ腫れができてしまうことがあります。
 

■ひっかかれないようにするための対応方法
いずれの場合も猫が悪意で同居人を傷つけようとしたわけではありません。猫と暮らしていたらよくあることなので、ひっかかれたときの被害を少なくするため定期的に猫の爪を切っておきましょう。

【関連記事】猫の爪切り、耳掃除、歯磨き…「手入れ」の基本

 

噛み猫・ひっかき猫にしない遊び方

 
猫と遊ぶときは飼い主は冷静に興奮状態を確認しましょう

猫と遊ぶときは飼い主は冷静に興奮状態を確認しましょう


■遊びを終了するタイミングが大事
猫と遊ぶときは、加減や遊びを終了にするタイミングが非常に大切です。遊びに熱中し始めると猫はどんどんエキサイトしていきますが、ある程度のところでさっと遊びを終了させます。
遊んでいるときは、あまり猫を興奮させすぎないように。猫がいくら喜んでいるようにみえて一生懸命猫じゃらしを追っかけたとしても、飼い主は猫の興奮度を冷静に観察して遊ばせましょう。

■人の手で遊ばせる時は挑発したり、じらしたりしない
「手で猫を遊ばせてはいけない」と書かれた猫の育児書があります。確かに一理あるようですが、私はどんどん手で猫を遊ばせても問題がないと思います。ただ、その遊ばせ方には工夫が必要です。手で猫を挑発するような、じらすようなやり方で遊ばせてはいけません。人間の手は、いつも猫にとって安心できるもの、気持ちよくさせてくれるものと覚えてもらいましょう。

あまり猫をじらすのもよくありません。布団などの下で指を動かすと、猫はその動きに釣られて大喜びで飛びついたり噛みついたりして遊びます。しかし、これを覚えさせてしまうと、一緒に寝ているときにあなたが布団の下で足の指を伸ばしただけで、そこを噛みつかれるようになってしまいます。
猫が喜ぶからという理由だけで遊ばせていると、将来痛い目に遭うかもしれません。覚えて良い遊びだけを考えましょう。
【関連記事】猫が喜ぶ遊び方ってどんなもの?
 

猫がパニックを起こした時の対応方法 

猫がパニックを起こした時は落ち着くまでひとりにさせましょう

猫がパニックを起こした時は落ち着くまでひとりにさせましょう


それぞれの猫の性質の違いで、その時々の猫の反応は違いますが、ほとんどの猫はパニックを起こすと思って間違いないでしょう。

■猫がパニックを起こす原因
パニックの原因は様々。聞き慣れない音、見慣れないもの、嗅ぎ慣れないニオイ、突然かかったシャワーやドライヤーのモーター音、扉がばたんと閉まる音にさえビクッと反応する猫がいます。間違って猫のしっぽを踏んでしまったときや、猫が神経質になっているときに触ろうとするだけで、カァ~!っと怒り出すこともあります。猫は非常に用心深い動物ですので、自分が慣れ親しんでいるはずのものでも、少し形態が変わっているだけで、飛び上がり身体を膨らませ、攻撃態勢に入ろうとすることがあります。見慣れているはずの同居人が帽子をかぶったり、髪型を変えただけでも、しばらく遠巻きにして認識してくれない猫もいます。

■パニックを起こしている時の猫の様子
パニックを起こした猫は、目をまん丸に見開き全身をふくらましたり、興奮して走り回りますが、しばらくすると徐々に冷静に戻ります。
猫が怒ったり恐怖から攻撃モードになっていたり、パニックを起こしているときは、恐ろしい形相になり低い声で唸りながら耳を横に寝かせ、全身の毛を逆立ててしっぽをふくらませます。

■猫がパニックを起こしている時は猫をひとりにさせ落ち着かせる
こんなときは、近寄らなければ噛まれたりひっかかれることはないので、猫が落ち着きを取り戻すまでひとりにしておきましょう。ただし、攻撃モードの猫から逃げるときに猫の目をじっと見つめたり、怖がるようなそぶりを見せると猫が飛びかかってくるかも知れません。それ以上猫を刺激しないように、できるだけ平静を装って、そっと後ずさりして猫をその部屋に閉じこめてしまうのが無難です。
 

猫が飼い主を襲う場合の対応方法

猫が飼い主を襲う原因を探り、同じ状況をつくらないよう気を配りましょう

猫が飼い主を襲う原因を探り、同じ状況をつくらないよう気を配りましょう


非常に少ない例ですが、穏やかな家庭猫が突然凶暴になり飼い主を襲うことがあります。猫に攻撃されたことで飼い主自身は、身体の傷だけでなく精神的に大きな傷を受けてしまいます。自分では何気なしに立ち上がったり、猫の前を横切っただけなのに攻撃されると、猫に後ろ姿を見せるのも不安に感じるようになるでしょう。

■猫が飼い主を襲う原因1:環境の変化
それまで問題を起こしたことがない猫が豹変してしまう原因で一番に考えられるのは、猫の縄張りを侵すような何かが起こったときです。多頭飼育であれば、それまで仲良くしてきた他の猫が何かの拍子で自分の縄張りを侵す侵略者であるとインプットされ、攻撃目標が猫だけでなくその猫をかばう飼い主にも向けられる可能性があります。引っ越しをした、部屋の模様替えをした、新しい家具を購入したなど環境の変化による猫の不安やストレスも攻撃的な行動を起こす一因になります。

■猫が飼い主を襲う原因2:転化攻撃
何かの拍子でパニックになってしまい、そのときの原因をたまたまそばにいた人間や、他の猫(動物)のせいにすることがあります。これは転嫁攻撃と呼ばれるものです。たとえば、窓の外を通りがかった外猫を見てとか、大きな物音がしたとか、ニオイで刺激を受けてとか、猫の鳴き声や似た音でパニックになることもあります。知り合いの猫は、猫の鳴き声の携帯電話の着信音に反応して、いきなり飼い主に飛びかかったそうです。

■猫の攻撃を避ける対処方法
  1. まずは猫を隔離し、攻撃された状況を把握する
    飼い主に対して攻撃を始めたときは、とりあえず飼い主と猫の安全のために猫を隔離しましょう。攻撃的になったときの状況を正確に把握することで原因を探り同じ状況を避ける、もしくは原因を取り除くなど対処を考えます。
     
  2. 行動学を専門に研究されている獣医師に相談する
    あまりにも何度も何度も転嫁攻撃をする猫は、もしかしたら神経的に何かしらの病変を抱えている可能性もあります。行動学を専門に研究されている獣医師に相談されることをおすすめします。
 

猫による噛み傷・ひっかき傷の応急処置と対応

猫にひっかかれると、バルトネラ・ヘンセネラ菌によって猫ひっかき病や、噛まれるとパスツレラ・マルトシダ菌によってパスツレラ症という人畜共通感染症(ズーノーシス)を起こすことがあります。猫に噛まれたりひっかかれたりしたら、すぐに流水できれいに洗い流し手当をしてください。もし心配と思われる症状が出たら、早急に医療機関の診察を受け、その際は、猫に引っかかれたことを告げてください。

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。