ネコという動物はどんな性本能を持っているのでしょうか?ネコの性本能を知って、何のために不妊手術が必要かを考えてみたいと思います。
今回は、ネコの性成熟メカニズムについて、次回はガイドが考えるネコの不妊手術についてです。
メスネコの性成熟
メスネコの性成熟短毛のメスネコは、早い子で生後5ヶ月頃から、一般的には生後7~8ヶ月前後に最初の発情がきます。長毛のメスネコの場合は、短毛種より少し遅い傾向があり、生後10ヶ月前後に最初の発情がくることが多いようです。
発情=さかりの間にオスネコと交配すると、ネコはかなり高い確率で妊娠します。これは、単独生活を送るネコ族の生活習慣・行動が種の存続を保つために与えた宿命的なものです。
メスネコの発情は、いつもよりも甘える仕草をみせる、いつも以上に人の体や家具などに身体をすりつけて回る、食欲がなくなる、しっぽの付け根をさわると前身を低くして腰を浮かせる、後ろ脚だけで足踏みをする、今までとは違う鳴き方をする、頻繁に陰部をなめる、トイレに行く回数が増える、トイレ以外で粗相をする、スキがあれば外に出て行こうとする…などといった行動でわかります。
ネコによってはほとんど変化をみせず、人間が気がつかない場合もあります。
一番最初の発情は短い(約3~5日)傾向で、その後3~4週間程度の間隔で1週間~10日鳴いて。。。と発情を繰り返し、徐々にエスカレートしていくネコが多いようです。
満たされない欲求を繰り返すメスネコは痩せて、毛が抜けたり毛づやが悪くなっていきます。
時々犬と混同して勘違いされる方がいますが、ネコは発情中に出血しません。もし発情していると思われる時期に出血していたら、それは子宮蓄膿症や膀胱炎など病気のサインですので、至急獣医師の診察を受けてください。
オスネコの性成熟
オスネコには周期的な発情期はありません。
1年中いつでも、その気になった発情中のメスネコが側にいれば、子猫を作ることが可能です。
生後5ヶ月でお父さんネコになった短毛種がいましたので、「まだまだ、子猫だから」と油断しないでください。
オスネコの性成熟度が高くなると、オシッコの臭いが今までより臭く感じられるようになります。また、スプレーと呼ばれるしゃがんでするオシッコとは違うマーキングをあちこちに引っかけはじめるネコが多くいます。
これは一種独特の目にしみるような異臭で、洗濯しても臭いが落ちないこともあります。
シッポをピンと立てて、立ったまま壁やカーテン、家具に向かって垂直にスプレーを飛ばします。ピュッと少し飛ばすだけのスプレーもありますが、下に水たまりができるほどたくさん引っかけるネコもいます。そして、それを日に何度も。。。あちこちで。。。
同じ敷地内に発情しているメスネコがいなければ、オスネコの性本能の目覚めは遅いかもしれませんが、それでも生後10ヶ月前後にはほとんどのオスネコがいつでもお父さんになれるでしょう。
性本能が活発になってくると、ホルモンが刺激されてシッポの付け根がベタベタと脂で汚れるようになってきます。これをスタッドテールと呼びます。
スタッドテールがひどくなると、毛穴をふさいで膿を持つようになります。スタッドテールはできる限り清潔に気を遣ってあげなければなりませんが、通常のシャンプーではきれいにすることは難しいので、特にスタッドテール用のシャンプーなどを使った方が良いでしょう。
ネコの世界にレイプはない?
オスネコは、メスネコの発情に非常に敏感に反応します。飼い主が、メスネコに発情が来ていることに気がつく前に、オスネコはすでにアタックを開始します。
しかしネコの場合、どのオスネコを相手にするかの選択権はメスネコにあります。
何を基準にどのオスを相手と決めるか?は、そのメスネコのみぞ知るで、人間にはうかがい知ることができませんが、相手として選ぶ基準は、一番強いネコ・(人間の価値判断での)ハンサムなネコ。。。だけではなさそうです。
オスネコがどんなに猛烈なアタックをしても、そのオスネコを受け入れないと決めたメスネコは頑として抵抗します。拒絶反応を食らったオスネコは、すごすごと引き下がらずを得ません。。。すばらしいことに、ネコの世界にはレイプが存在しないようです。
お見合い成立
メスネコは相手を受け入れると決めると、オスネコにお尻の臭いをかがせ前身を低くして腰を上げます。オスネコはメスネコの背中にまたがり、首を噛み身体を沈めて挿入します。
ベテランのオスネコになると、ここまでの動作は数秒です。
発情が強すぎるメスネコは上に乗られただけで、身体を横たえてしまいオスネコがなかなか挿入できない場合があります。また、慣れていないオスネコは位置がわからず、何度も首を噛み直し、モゴモゴやっているうちにメスネコに愛想を尽かされることもあります。知り合いのところでは、首の噛み具合をうまく加減できずメスネコの首の肉をえぐり取ったオスネコもいました。
オスネコのペニスにはトゲトゲがあります。そして交配時にオスネコはメスネコの首を噛みます。ペニスのトゲトゲと首を噛まれる刺激によって、その都度刺激排卵がおきるのです。ですからメスネコは多数のオスネコと交配することができ、父親の違う子猫を同時出産することが可能です。
時々、この両親ネコのカラーの組み合わせだったら生まれるはずがないカラーの子猫が生まれた、という話を聞きますが、この場合はお父さんネコが複数いたというわけです。
挿入されると、メスネコは大きな声を上げます。射精までは1~4秒です。射精がすむとオスネコは機敏にメスネコから離れます。というのも、メスネコが爪や牙を出してオスネコ(だけではなく、そのとき周りにいるものすべてに)攻撃を仕掛けるからです。1~2度爪を出した後、メスネコは背中をごろんごろんつけてのたうち回ります。
メスネコが発情中は、何度でも交配を繰り返します。しかし、たくさん交配回数を重ねたから子猫の数が増えるわけではなく、たった1回の交配で7匹受胎することもあります。
妊娠
ネコの妊娠期間は約63~66日前後で、3~7匹程度を1回で産み落とします。
出産後約1ヶ月前後で次の発情が来て、また妊娠可能になりますので、タイミングが合えば1年に3回以上出産することも可能です。
簡単に計算してみても、ネコはもしかしたらネズミ算以上に子孫を作ることに長けているかもしれません。
ここまでがネコの性成熟と交配~妊娠に至るまでの過程です。
もし、本気で繁殖を考えるのであれば、この知識以外に必要な勉強と準備はやまのようにあります。
しかし、単に今同居しているネコを大切にしたい、健康で長生きしてほしい、と望むのであれば、このような満たされない欲求をそのままにしておくことは、ネコにとって非常に大きなストレスにならないでしょうか?
そして、不妊手術を行わないことで、より高くなる病気のリスクもあります。
次回は、ガイドが考える不妊手術の勧め、そして手術を行うメリットなどについてです。
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