攻撃でない「噛む」に対して

 
カミカミするのが、ネコなんだよ
「なんでもかんでもやたら、噛んで噛んでしょうがないんです」
「手や足に噛みついて、痛くて…」
最近よくネコの噛み癖についてのご相談をいただきます。
甘噛みを知っているネコでも、子猫の歯(特に乳歯の頃)は針のように尖っていて痛いし、もし甘噛みを知らないネコが本気で噛みついてきたら…!確かに「ネコが噛む」事は重大問題でしょう。

しかし同じ「噛む」でも、遊びで噛んでいる場合と、パニックを起こして自分の身を守るために、または攻撃するために「噛む」のとは、まったく内容が違います。
また、遊びで噛んでいてもそれが「甘噛み」なのか、加減を知らず本気で歯を当てて噛むのかでも違いがあります。

今回は「ネコの噛み癖-子猫編(遊びの中の噛む)」を取り上げたいと思います。
まずは 「噛まれた」事に対して、冷静になって考えてみましょう。
なぜネコは噛みたがるのでしょうか?
噛まれた時は、どのように対応すると良いでしょう?
噛み加減を知らない子猫をどうしつければ良いのでしょうか?
…現在とっても噛みたがるネコと生活をしている方のご参考になれば、と思います。

   
■「噛む」という行為を冷静にチェック
 

ネコに慣れていない人は、ネコが突然噛み付く行為をしただけで、「噛んだ!」と大騒ぎしがちです。
ネコはただ遊びの延長で噛んでいるだけかもしれないし、性行動のような愛情表現で甘噛みをしようとしただけかもしれません。
もしかしたら、飼い主が不用意に急所を触ってしまったとか、少しイライラしていて触って欲しくない時に触られた、などに対して軽く噛む行動を起こしたのかもしれません。

ネコの牙や爪を恐れるあまり、噛まれることに過敏に反応すると、ネコは「噛む行為をすると自分の思い通りになる」と思ってしまうこともあります。
結果、ネコ主導型の生活を強いられることにもなりかねません。どの程度に噛んだのか、噛んだ状況と意味を冷静に判断した対応をすることが大切です。

   
■ネコはなぜ噛むんだろう?
 

家庭ネコ族は人間と生活を共にすることができる動物の中でも、非常に強い野性味をもち続けている種族です。
ネコは本来狩猟動物で、非常に有能なネズミハンターでもありました。人と深く結びつく生活の中で、現在のイエネコ(飼いネコ)はネズミを捕食する環境が少なくなりましたが、狩猟本能は依然として残っていて、それを遊びの中で満足させようとします。

ネコ族は本能を刺激する動きや音、臭いを感じると、空腹でなくても獲物を狙う動作をします。この時の獲物は自分の食料ではなく、狩猟衝動から起こる遊びのターゲットです。

ターゲットを狙うネコは身体を低くかがめ、お尻を少し持ち上げてシッポの先端を動かし、足踏みしながら、襲いかかるチャンスを待ちます。「今だ!」と思ったタイミングでネコはターゲットに飛びかかり、前脚で抱え込み噛みつきます。後ろ脚を使ってネコキックをしたり、前脚や口でマリのように高く放り投げたり、ネコは様々な動きでターゲットをおもちゃにして遊びながら狩猟本能を満足させているのです。

お腹が空いていなくても、本能を刺激されると飛びかかっていくのがネコ。
そう考えると、ネコが噛んだり引っ掻いたりするのは、ある意味当たり前の行動だと思いませんか。

   
■遊びの「噛む」
 

成長過程の子猫同士の遊びを見たことがありますか?
子猫の目は5日~10日前後で開いていきますが、動くものを目で追うことができるようになるのは生後3-4週頃からです。
まだ足元がおぼつかない生後3-4週頃から、お母さんネコの揺れるシッポにじゃれつき、遊びながら動くものに素早く反応することを学んでいきます。

兄弟ネコがいれば、子猫たちは追っかけっこをし、飛びかかり、前脚で抱え込んで後ろ脚でネコキックして噛みつき合います。興奮しすぎて本気で噛み合い痛い思いをすると、一方は大きな声で悲鳴(抗議)をあげたり、またはもっと強く噛み返すという防御と攻撃のやりとりをする中で、仲間同士の限度(「甘噛み」という加減)も体得していきます。

完全室内で何世代も飼われてきた今のネコたちは、目的(食料)のための狩猟は忘れかけていますが、自分の狩猟本能を刺激するものに対する反応は衰えていません。子猫同士での「遊び」は、狩りの能力を磨くと同時に、ネコという仲間の社会性や性行動の勉強にもなっていて、ネコの正常な成長にとって身体的にも精神的にも必要不可欠だといえるでしょう。

こうした理由から、可能であれば、新しく迎え入れる子猫は最低生後2-3ヶ月まで、親兄弟との生活を経験してからの方が望ましいでしょう。
もし幼いうちに、ひとりぼっちになったネコの場合は、そのような社会勉強の基礎ができていませんから、噛みつきかたの加減を知りません。

飼い始めた子猫が、本気で噛みついてくるようでしたら、あなたがその子猫の親や兄弟になったつもりで、子猫と遊び、教育する(しつけをつける)必要があります。
ネコのしつけ時の叱り方については、過去の記事にも書いた通り、決して体罰などを与えてはいけません。
ネコの性質によっては、軽い鼻ピンなどが効果的な場合もありますが、基本的に人間の手を使った体罰は避けるべきです。
→参考リンク: ネコに必要な「しつけ」とは?
         ネコの苦手を「しつけ」に活用!

 
続いて、噛まれた時の対応は?遊ばせ方にも工夫が必要?→