オリンピックは、普段オンエアされない競技が
ハイビジョンで溢れかえるテレビの試金石
8月8日の北京オリンピック開幕を前に、ボーナスで薄型テレビの購入をお考えの方は多いのではないでしょうか。今回は、スポーツプログラムを見るための薄型テレビの選び方について考えてみましょう。今回の北京大会は全ての放送映像がフルハイビジョン(1080/50i)で製作される初の大会です。私はフルハイビジョン(画面解像度1920×1080)の製品をお求めになることをお勧めします。液晶方式、プラズマ方式のどちらを選ぶかは、すでに「液晶、プラズマ、あなたはどっちを選ぶ?」でお話しましたのでそちらをご覧ください。
サッカーや野球といった人気競技の他に、普段オンエアされる機会の少ない競技がハイビジョン映像でテレビに溢れ返るのがオリンピックです。しかしテレビのコンテンツとして、実はかなりの難物なのです。
スポーツ競技と一口に言っても、映像の性格はそれぞれ異なります。例えば、日本選手の活躍が期待されるお家芸の柔道。典型的な室内競技で、照明の色温度が高いためクールな映像になる傾向があります。しかも、審判の判定で勝敗が決まることが多いため、隅々まで視認のできるフラットな配光であることが特徴。つまり陰影がまったくないのです。
それに加えて、柔道着の白、畳の淡緑というストイックな色彩ばかりですので、コントラストのない映像になりがちです。液晶やプラズマテレビで見ていると、メリハリのない平板な映像になりやすい傾向があります。
それではどうすればいいでしょうか。全てのスポーツプログラムに共通したことですが、シチュエーションがどんどん変わる映画と対照的に、同じ色彩構成、画角の映像が長時間続きます。ですから最初の5分間で映像調整を済ませてしまえば、あとは心行くまで快適なテレビ観戦が楽しめます。
テレビの視聴は、スタンダード、リビング、シネマ、ユーザーカスタムというプリセットモードを選ぶことから始まりますが、スポーツ観戦の場合、スタンダードを選びましょう。
さらに細かい調整をしたい場合、テレビの調整の基本は、最初に色温度の選択、次にコントラスト、ブライトネス(黒レベル)で、液晶方式の場合はこれにバックライト調整が加わります。
例えば柔道の場合、多くの薄型テレビは、スタンダードのまま見ると生彩がなく立体感が不足します。色温度は、中高か高が適切です(テレビによって数値は異なりますが、9500kくらいが適切でしょう)。
色温度の調整が終わったら、次は映像調整に入ってコントラストとブライトネスを調整して映像にメリハリを出してやり、「ガンマカーブ調整」がある場合は、1、2、3と切り替えてみるといいでしょう。
これは黒から白までパネルを光らせる輝度の特性を選んでいく機能ですが、映像に一致した設定が見つかると競技者が会場から自然に浮き上がり、競技を真剣に見つめる観客席のようすが生々しく伝わってくるようになります。
東芝のレグザ500系のように、ポインターを使って色合いを変える機能がある場合は、例えば、柔道着の白の色味、畳の淡緑など映像の基調になる色を選び、色相、彩度、濃度を調整して登録しておくと、対比があざやかになり競技の模様がクッキリ浮き上がるような映像になって楽しめます。
東芝最新のレグザのフラグシップが52ZH500。フルハイビジョン10ビット倍速広帯域パネルを搭載した製品。カラーパレット機能は画面上の特定の色について色相、彩度、明るさの調整ができて、しかも3種類まで記憶できる。色彩が重要なファクターのスポーツ番組に威力を発揮する。300GB のハードディスクを内蔵しているのもオリンピック観戦に有利 店頭実売価格\548,000(ヨドバシカメラ調べ 5月27日現在) |
次ページでは室外のスポーツを見るときに選びたい薄型テレビをご紹介します。