垂直配置なのに、左右への回り込み、広がりは豊かで厚い。
意外性を味わわせる音場
東京都千代田区外神田のNIROショールームで私が対面したスペリカル サラウンド システムは、テレビの両脇にB&Wのモニタースピーカー801Dが鎮座しているせいか、その簡潔さ、コンパクトネスに感嘆させられます。デモをしてくれたのは、6年前のラスベガスと同じ中道理氏でした。秋葉原と上野の真ん中、末広町交差点にほど近いNIROショールームでスヘリカル サラウンドを試聴した。CDの音楽ソース再生もスケール感のある腰のある音で、教えなければ両脇に置かれたNIROSONの高級アンプ視聴用のB&W801Dから音が出ていると錯覚するかも |
今後のシリーズ展開とHDMIへの対応など、自信タップリと抱負を語った後、試聴がスタート。この日、私が演奏したソフトは、ディズニーの新作で実写とアニメを融合したミュージカル『魔法にかけられて』(ブルーレイディスク輸入盤)、やはり新作ミュージカルで7.1ch音声が収録されている『ヘアスプレー』、松任谷由実のコンサートライブ『シャングリラ』(これはリニアPCM48kHz/24bit音声5.1chです)、角松敏樹のコンサートライブ(リニアPCM5.1ch)などです。
結論から言うと、スペリカル サラウンド システムは、垂直配置を選択したのにもかかわらず、水平方向への音の広がりとリスナーを包み込む効果の厚みで最右翼のサラウンドシステム、と紹介できそうです。松任谷由実のコンサートビデオでのシンセの音の厚みは出色で密度の高い厚みと実在感のある音で他のバーチャルサラウンドに差をつけます。
NIROはリア音場を担当するサラウンド トップをテレビ上方に設置することで、各壁面からの距離が等しくなり、床面からの反射により音質の劣化と位置情報のあいまい化が激減したと解説していますが、事実、後方定位や、後方から前方への移動感は大幅に表現力を増しています。『魔法にかけられて』のセントラルパークの群舞シーンが終わった後、ヒロインのジゼルの肩に鳩が舞い降りるのですが、羽音の移動はリアスピーカーを設置していると聞きまごうリアルさです。
サラウンド トップ スピーカーはこのように付属のマウントアダプターで薄型テレビに固定ができる |
敢えて注文をつけるなら、工場出荷状態では、センター音声がやや控え目です。水平方向へのサラウンドの広がりを印象付けるために、LRとサラウンドが高めになっているらしく、センターがバランス上引っ込んで聴こえます。スペリカル サラウンド システムのリモコンにはセンター音声の音量を独立して調整するボタンがありますので、それでやや高目に設定してください。
サラウンド ベース スピーカーとサラウンドアンプをTVボードにセットした。ベーススピーカーも付属の設置角度調整用スタンドで聞きやすい角度で固定できる |
5年ぶりに登場したNIROサラウンドシステムの第三世代は、シンプリティは損なわず、格段に表現力を増していました。\138,000という価格は、ヤマハYSP-3000の予想実売価格\120,000(ラック一体型YSP-LCW3000は\150,000)とガチンコ勝負。
私が聞いた限りでは、安定して高い効果の得られるNIROに対し、視聴条件でさまざまな最適アレンジのできるヤマハ、ソリューションの面でも、ユーザーがテレビ上下に簡単に設置したり、軽量小型を活かして壁掛けができるNIROと、どちらかというとラックシステムとして購入するヤマハという点で対照的です。
これだけは百聞は一見(聴)にしかず、ショールームにNIROスペリカル サラウンド システムの音を訪ねてみてください。
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・NIRO スヘリカル サラウンドシステム
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