F1シリーズは、「狭額パネル」のパッケージングに、
ソニーらしい切れ味とインテリジェンスを感じさせる
新シリーズは共通して、デザインに重点が置かれていることが最大の特長です。特に従来の「フローティングデザイン」から一歩抜け出た、F1シリーズの新しい顔つきに興味を惹かれます。現在の液晶テレビのデザイン潮流は、「超薄型」グループの日立、シャープと「狭額化」グループの三菱に大別されますが、少なくともF1シリーズに関しては、ソニーは後者の一員に加わったことになります。
幅27mmのベゼルはエッジを強調したシャープなデザイン。F1シリーズは外装色を見る角度で印象を変えるサファイアブラックとアルミ押し出し材の質感を生かしたシルバー(写真)の2種から選べる |
F1シリーズのデザインは、さすがに日本の工業デザインをリードしてきたソニーらしく、「単にベゼルが細い」だけでない、総合的に隙のない完成度の高い出来映えに感心させられます。ベゼルを細くすると電極の構造を変えねばならず、どうしてもパネルが厚くなりますが46V型で最薄74mmをキープ、他社製品にスタイルで差を付けます。
スクエアでシャープな全体のフォルム、本体下に透明な窓を残してフレームワークを強調したデザインは、不滅の名作「プロフィールプロ」の薄型テレビ版を思わせる、といったら誉めすぎでしょうか。
従来のパネルを使用した比較的オーソドックスなデザインのV1ですが、本体色はベゼルの塗装にブルーのアルミフレークを混入した光沢塗装の「サファイヤブラック」を採用。52V、46V、40V型すべてがフルハイビジョンです。
F1に使われている狭額パネルとV1他のパネルは別物です(両シリーズとも10ビットパネル)。ソニーの液晶テレビは「ブラビア」になってから全てS-LCDの液晶パネルを使っていますが、X、Wや,同時発表のV1とも共通しないF1シリーズのパネルは、外部からの購入品ということになります。複数のパネルを製品のマーケティングによって使い分けていくソニーの新戦略がF1シリーズに現れています。
「ブラビアエンジン2」で画質も向上、
「ブラビアリンク」も活用範囲が広がる
F1シリーズは46V、40V、32Vすべてがフルハイビジョンで、機能上はプレミアムシリーズのX、Wに非常に近い内容です。60コマのテレビ映像を倍速化(120コマ)して残像感を減らし、24コマの映画フィルム映像を検出した場合は、オリジナルのコマの間に新たに4枚の中間コマを作り出しなめらかな動きに変える「モーションフロー」が採用されています。映像に応じて最適な画質に自動調整する「ブラビアエンジン」は、今回のF1、V1では「ブラビアエンジン2」に発展しました。X、Wは「ブラビアエンジンプロ」ですので、ここではやや差が付きます。
またF1では、上位機同様に「静止画専用フォト画質モード」を新たに設け、ソニー製の対応デジカメの画像を入力すると自動的に写真観賞用の画質に切り替わる「ブラビアプレミアム・フォト」機能も搭載されました。これはV1には搭載されません。
HDMI Ver1.2aのCEC機能(テレビ、レコーダー、サウンドシステムを連係動作させる)のソニー版が「ブラビアリンク」ですが、今回のF1、V1新シリーズは、ソニー製のハンディカムやデスクサイドPCにまで、対応範囲を広げました。つまり、テレビのリモコンを使ってHDMIで接続したビデオ一体型カメラの再生やストップが出来るということです。
IR(赤外線)だけでなく、2.4GHz帯の無線通信を使用し、テレビに向けなくとも操作ができる「おき楽リモコン」も32V型以上の全てのブラビアに採用されています。なお、F1の外装デザインはアルミフレークを混入した「サファイアブラック」と、押し出しアルミの質感を生かした「シルバー」の2色から選べます。
F1シリーズとV1シリーズのラインナップと予想実売価格を紹介しておきましょう。
■F1シリーズ
KDL-46F1 予想実売価格 40万円前後 |
KDL-40F1 予想実売価格 29万円前後 |
KDL-32F1 予想実売価格 20万円前後 |
■V1シリーズ
KDL-52V1 予想実売価格 46万円前後 |
KDL-46V1 予想実売価格 37万円前後 |
KDL-40V1 予想実売価格 26万円前後 |
次のページでは、ブラビアのベーシックラインを担うJ1シリーズ、パーソナル用途にフォーカスしたポップなM1シリーズを紹介します。