リビングモードは、自動映像調整が慎重にジワーッと動く
このパイオニアの“KURO”他にもさまざまな特徴を持っています。例えば「リビングモード」。これはテレビに内蔵されている照度センサーがテレビの設置されている部屋の明るさを認識し、例えば映画なのか、スポーツ中継なのか、TVドラマかを分析して、画面の明るさやガンマカーブを自動調整する機能です。これによりテレビと映像本来のコントラスト特性の差が自動的に合わせ込まれるのですが、これが非常によくできていて、せわしなく調整されるのではなく、ある時間の幅を監視してジワッと動くのです。
しかし、何といっても命名の元になり、話題のハイビジョンディスクの映画ソフトで大きな威力を発揮すると思われる、深いコントラストの映像美こそが“KURO”の身上、実際の視聴印象記をここからはお伝えしましょう。
黒に強いことは映画にオールマイティを意味する
パイオニアの真新しい新本社の視聴ルームでPDP-5010HDを約2時間にわたりブルーレイディスクの各種ソフトを中心に見せていただきました。視聴環境はガイドの希望で真っ暗にはせず、50ルクス程度の明るさ(本が読める程度の明るさ)です。『ドリームガールズ』(パラマウント)。疾風怒濤の1960年代を駆け抜けた、黒人ガールズグループ“ドリームズ”の出世街道ばく進を数多くの楽曲で綴ったブロードウェイニュージカルの映画化。変化に富んだ舞台衣装、ややダークで階調豊かな映像は美しい。 |
『バベル』(パラマウント)。モロッコ、メキシコ、東京の三都市を舞台に、人間の孤独と愛の焦燥を各国語で描く。アカデミー作曲賞を二年連続受賞したグスタボ・サントラヤの民俗楽器ウーゴを中心にした音楽も素晴らしい。 |
PDP-5010HDで見るこのシーンは、ゆっくりと遠ざかるカメラが映し出す闇の中の二人の寂寥感、父娘を取り巻く闇の中に明滅する都会の光の暖かさが違うのです。何度も見たシーンですがいつもに増して「感動」を味合うことができました。
『イル・マーレ』(ワーナーホームビデオ)。韓国映画のハリウッドリメイク。湖畔の家に暮らす新旧の住人が、不思議なことに3年という時間を越えて文通をはじめる。 |
パーティの喧騒から逃れた二人が深い夜闇から立体的に実に美しく浮き上がり、時間からはぐれてしまったもの同士が「ふたりぼっち」になって語らうシーンが、とても効果的なのです。
つまり、ミュージカルからシリアスドラマ、ラブロマンスまで、「黒に強い」ということは映画を見せる上でオールマイティなのです。新しいプラズマテレビを得て、パイオニアが家庭で映画を見るためのすべての要素、プレーヤーからAVアンプ、スピーカーまで一新した理由がそこにあります。
最終ページでは、“KURO”があなたにとって価値あるテレビかどうかの判定をしてみましょう。