部屋
作家・遠藤周作を魅了した湖畔の景色と料理に出会う旅
作家・遠藤周作のエッセイに度々登場する料理旅館「湖里庵」を訪ね、滋賀県・琵琶湖畔へ。
鮒寿司一筋200年の老舗料亭が営むこの宿に泊まれるのは1日1組のお客様だけ。

文豪気分で優雅にのんびり楽しみ味わう美食の旅。いかがでしょうか?


作家・遠藤周作がこよなく愛した
鮒寿司一筋200年の老舗


掛け軸
遠藤周作直筆の掛け軸。「名前をつけていただいた後、紙と筆をもって東京に飛んで行ったんです」。
作家・遠藤周作のエッセイに度々登場する料理旅館を訪ね、湖畔の町・海津へ。
宿に到着して、通されたのは1階奥の和室。ふと床の間に目をやると、「湖里庵」の字が躍る遠藤周作直筆の掛け軸が。

「最初においでいただいたんは昭和63年頃でしょうか? 旅行で京都に来はった時、「鮒寿司を食べてみたい」と、わざわざ寄って下さったんです。それから、毎年1度や2度は顔を出してくれはりましたなあ」

もともとは鮒寿司一筋200年の老舗料亭。
『魚治』の看板を掲げていたが、平成2年に改築。6代目となるご主人が店を継ぐ際、旅館と販売店という姿に変えた。

店名「湖里庵」の由来は、
遠藤周作のペンネーム「狐狸庵(こりあん)」


色紙
直筆の色紙も。「“必要なら看板も書くから”と言ってくれはりました」。
「満足のいくおもてなしができるよう、お招きするのは1日1組。
新たな気持ちで始めた旅館に、『魚治』の名をつけるのもどうかと思い、名前をつけてほしいと、思い切って先生に手紙を書いたんです。
そしたらご本人からお電話をいただきまして……」

胡蝶庵、湖華庵など6つの候補の中には、氏がエッセイなどで使うペンネーム、「狐狸庵(こりあん)」と同じ韻の名前があった。
「恐れ多いとも思ったんですが……」

ふと窓の外に視線を移せば、目に飛び込んでくるのは一面の水景色。水際に建つ宿ならでは、どの部屋からも湖が見渡せる。

「海みたいですやろ? 今日は波がたってますが、穏やかな日は鏡のようです。先生も、この景色を気に入ってくれはりました。海津は桜も有名ですが、亡くなる前に「海津の桜が見たい」と話されたそうです」

次のページで、「湖里庵」の最大の魅力であるお料理についてさらに詳しくご紹介します。