人魚の肉を食べると
不老不死になるって本当?
塩船観音寺の山門。住宅街に忽然と現れる室町時代の建造物 |
その美女の名は八百比丘尼(ヤオビクニ、またはハッピャクビクニ)。若狭の国の生まれとされます。それと知らずに人魚の肉を食べた娘が、16歳(18歳とも)のまま、八百年も生きてしまったというのがその話の骨子。そんな素晴らしいアンチエイジング法があるならわたしも試してみたいものですが、若いままなのはともかく、八百年も生きるのは、はたで思うほど楽じゃなかったようです。
法要の日に訪れると、こんな光景も見られます |
親たちも家族も知り合いもすべて死んでしまったため、八百比丘尼さんは若狭の国を出て尼になり、全国行脚をします。本州をほぼ半周し、行く先々で橋を架けたり人を助けたりしましたが、最後は故郷の若狭に戻って、空印寺というお寺にある洞窟に入って静かに亡くなったということです。
ぞの空印寺には何年か前に行ったことがあるのですが、実際に寂しげな感じの洞窟がありました。そうか、いつまでも若く美しいのはよいけれど、長生きしすぎるのも、ずいぶん孤独なものなんだなあ。
塩船観音寺は、
その八百比丘尼が建てた寺です
そのような伝説の美女が建てたとされるためか、塩船観音寺はとても美しく、よい佇まいのお寺です。季節ごとの花も美しく、春はつつじ、夏は蓮、秋は萩、そして建物もいい。室町時代の山門や本堂が素晴らしいです。わたしの好きな萱葺き屋根も残っています。本堂もやはり室町建築。萱葺き屋根の厚みと美しいカーブを見て! |
ご本尊の千手観音は、特別な日にしか開帳されず、普段は格子ごしに眺めることしかできません。わたしはラッキーにもその特別な日に行ったので、じっくりお参りすることができました。千手観音とその眷属の二十八部衆がずらりと並んで、なかなか壮観です。東京都内でこれだけ仏像が充実した寺も、そうそうないのではないでしょうか。
●東京都内有数の名刹、塩船観音寺のホームページはこちらです
●次は天寧寺にご案内します。山門と庭園の美しいこの寺の開祖は、かの平将門だと言われていますが……