別所温泉は
信州の鎌倉
信州上田の別所温泉は、国造や国府の所在していた古代から、庶民の安息療養の場所であったと言われます。湯の質がたいへんよいことから霊験あらたかな温泉とされ、やがて、仏教の霊場としてのお寺もできました。"七久里の湯"と呼ばれ、平安時代の有和歌集にもその名をとどめているそうです。趣あるお寺が多い別所温泉周辺。これは萱葺き屋根が美しい常楽寺の本堂 |
鎌倉時代には、北条氏の居館である塩田城にも近いことから、北条一族がよく湯治に来たとも言われます。別所温泉は「信州の鎌倉」と呼ばれますが、その理由は単にお寺が多いだけではなく、鎌倉の支配者である北条氏にかかわりが深い、という意味もあるようです。
まずは徒歩でいけるお寺から
別所温泉のレトロな駅舎。鉄道マニアの方々にも愛されているうようです |
わたしは、基本的にお寺には歩いて行くのが好きですが、京都、奈良、鎌倉以外では、公共の交通機関が充実していないため、なかなか難しいです。しかし、別所温泉には、歩いて行ける範囲に魅力的なお寺が複数あります。
別所温泉は典型的な昔ながらの温泉街なので、町のあちこちに古くからの立ち寄り湯もあります。昔懐かしい温泉饅頭や塩羊羹を売る店やひなびた食堂、絶品の信州蕎麦のお店などもあります。秋の1日、湯ったりのんびり、温泉とお寺めぐりを楽しんでください。
●別所温泉の情報はこちらにあります
始めのお寺は境内に温泉も湧き出す北向観音です。なぜ北向という名前なのかは、次のページをごらんください