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神戸の摩耶山で坐禅とイタリアン精進料理(4ページ目)

神戸の摩耶山では、オテル・ド・摩耶というおしゃれなホテルとお隣の天上寺がコラボレートして、坐禅とイタリアン風精進料理を楽しむプランが人気。摩耶山は眺望絶佳。夜景も日本一です。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


坐禅は禅宗のお寺のみで行われます

阿息観は、サンスクリット語の「阿」という文字が描かれた軸に向かって座る
翌朝は、朝食前にお隣の天上寺に行き、真言宗式の坐禅である「阿息観」の指導を受けます。ここでもまず、そもそも坐禅とは何か、というお話から始めましょう。

よく、お寺に行けばどこでも坐禅ができると思っている人がいますが、それは間違いです。このごろでは、一般向けの坐禅指導を行うお寺も増えてきましたが、正しい意味での坐禅は基本的に禅宗の僧侶が行う修行法の一つなので、禅宗のお寺でしかできません。

禅宗には曹洞宗、臨済宗(黄檗宗という中国直伝の宗派も含まれます)があり、それぞれ微妙に坐禅の作法も異なります。しかし、真言宗など密教系の宗派にも、坐禅に似た形の、座って精神統一し、瞑想状態に入る修行法があります。

今回お世話になる摩耶山天上寺は真言宗のお寺です。したがって、ここで体験するのは、厳密に言えば坐禅ではなく、「阿息観」という瞑想法です。

坐禅と阿息観の違い

だれにでもわかる一番大きな違いは、坐禅は姿勢が崩れたりした際に警策という棒で打たれるが、阿息観にはそれがないという点です。わたし自身は、背骨がゆがんでいるせいか、坐禅で同じ姿勢を保つことが難しく、よく、こっぴどく打たれます。そのため、どちらかと言えば、阿息観の方がお気に入りです。(要するにナマケ心ですね…)

それに加えて、阿息観では、サンスクリット語の「阿」という文字が書かれた掛け軸に向かってすわり、その「阿」の字をイメージしながら精神統一をします。禅宗の中でも曹洞宗の坐禅は、何もない壁に向かってひたすら座る形です。それと比較して、イメージする具体的な形がある「阿息観」は、精神統一がしやすいという点もあります。

「あー」という声を出して
宇宙と一体になります

まずは姿勢を整えます。半跏坐という、あぐらを組んで右足を左の腿に乗せる姿勢を取り、手は法界定印という形にします。これは、お釈迦様が悟りを開かれた時と同じ形で仏像にも見られる印相です。
半跏坐で座り、手を法界定印に組む

次に数息観を行います。これは、姿勢を正して深い呼吸をし、その呼吸を数えながら心を整えるものです。

そして阿息観。姿勢を正したまま、「あー」と息が続く限り発声。息を吸い、また発声し、を繰り返します。息とともに吐き出した「あ」の声がどんどん広がり、宇宙まで広がって行くことをイメージします。「あ」は全ての始まり、つまり宇宙の万物の創世を表わしていると同時に、万物の本源として不生不滅の原理を意味します。阿息観は、宇宙と一体となる自分をイメージする瞑想法なのです。
目は半眼で少し前に視線を落とす

最後に深呼吸して瞑想を解き、ストレッチで体をほぐします。短い時間でしたが、すがすがしい朝の光の中、とてもよい体験になりました。これなら家でもできそうです。

次のページは、すがすがしい霊気に満ちた天上寺の境内をご案内します
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