もともとのご本尊は
毘沙門天です
鞍馬寺本殿 |
鞍馬の狛犬は虎の形 |
●四天王については、こちらをごらんください
境内にある鞍馬山霊宝館には、毘沙門天立像があります。平安時代の貴重な仏像で、国宝に指定されています。この像は、手を目の上にかざして遠くを見るようなポーズをしています。つまり鞍馬山の上から京都の町を眺め、守っているのです。また、毘沙門天のお使いは虎とされるので、こちらの狛犬は虎の形をしています。
現在は、山や自然がご本尊
鞍馬山には巨樹が多い。これは由岐神社境内にあるご神木の大杉 |
ここで面白い話を聞きました。鞍馬では、建物の中に入ってきたムカデも殺したりしないそうです。ムカデは毒があり、刺されるとたいへんなことになるのにね。その理由は、ムカデは虎と同じように毘沙門天のお使いとされているからです。そういえば、何年か前に鞍馬に来たとき、霊宝館に、ムカデの絵の掛け軸が展示されているのを見た記憶があります。
ムカデは足が多いです。足は、おあし(お金)に転じ、毘沙門天は、お金が多い、つまり商売繁盛の守り神としても、庶民に信仰されることになりました。
鞍馬と言えば
義経と天狗
霊宝館より先は、さらに樹木が茂る山道になっています。このあたりには、古くから天狗が住んでいました。天狗とは日本固有の山の神のひとつで、修験道の山伏のような服装をし、鼻が高くて顔が赤く、手足の爪が長くて翼があり、金剛杖・太刀・羽団扇を持っています。神通力があり、空を自由に飛べるということです。中でも、ここ鞍馬の天狗は、「鞍馬天狗」として、小説や映画にもなって大人気だったそうですが、それは相当古い話なので、わたしほどの年齢のものでも、イマイチ、よくわかりませんです。鞍馬の駅前にある巨大天狗。鞍馬のアイドル的存在 |
源義経は、若いころ、この鞍馬寺に預けられていました。その際、このあたりの木の根道というところで、毎夜、天狗に指導されて剣術の修行をしたそうです。今回は、天候が悪すぎるためそちら方面に行くのは断念したのですが、以前行ったときは、しっかりその道を歩きました。
鞍馬の山は、岩盤が浅いところにあるので、木が根を深く張れません。そのため根は、地表を複雑に這いまわり、絡まりあって、独特の不思議な光景を作り出します。ぼこぼこしてたいへん歩きにくいため、ヒールの靴で行くのは厳禁。こんなところで修行したため、義経は、八艘飛びなどという離れ業を見につけることができたのです。
次のページは鞍馬の火祭りで有名な由岐神社にご案内します。