鞍馬に行くときは
足元を固めて出かけること
5月~6月にお勧めする京都郊外の山+お寺めぐり。第2回は、鞍馬をご案内します。人気観光地の大原と同じく京都の北の端っこですが、ぐっとひなびた感じで山も険しく、平日ならば、人はわりあい少なめです。鞍馬寺まで登ったら、その後は山道を歩いて貴船神社方面に降りていくコースもお勧め!駅を降りてすぐの鞍馬寺山門。しかし本殿はここよりずっと上 |
ただし、このコースを侮ってはいけません。
途中に源義経が牛若丸時代に修行したという木の根道などもあり、けっこうマジな山歩きになりますから、スカート+ヒールの靴などで出かけたらひどい目に遭います。わたしは基本的に、お寺歩きはスニーカーと決めていますが、鞍馬の場合は、特に足元を固めて出かけることをお勧めします。
まずは、ケーブルカーと
徒歩で本殿に向かいます
日本一短くて急勾配のケーブルカー |
本殿ではなく途中の多宝塔までのたったの0.2キロなので、これに乗ったからと言って、楽に鞍馬登山ができるというものでもありません。でも勾配がこのように急なので、歩いて登るのもきつそう。ということで、とりあえず体力温存のために乗っておきましょうか。
5月の鞍馬は
雨もまたよし
ちょくちょく鞍馬に行っていますが、昨年の5月に訪れた際は、なかなかの悪天候でした。宿を出るときはうす曇程度だったのに、次第に雲が厚くなり、山門につくころには雨粒が落ち始めました。最初は、「ちぇっ、いい季節にわざわざ来たのに、こんな天気でついてないなぁ」と思ったのですが、石段を登っているうちに、雨にけぶる風景の美しさに気づきました。もやに包まれた神秘的な石段 |
こんな天気のときに山を歩いた経験がありませんでしたが、山を覆う樹木や植物は、雨がなければ育たないものです。新緑の季節の雨は、天からの恵み。花も木も苔たちも、たっぷりの雨を受けて生き生きと輝いていました。
鞍馬の風雨は下界とくらべてあまりにも強烈だ |
地表を覆う苔も、雨を受けて嬉しそうに輝いていた |
実は、鞍馬では、こうした小さな植物や、ここで暮らす動物や昆虫たちも、たいへん大切にされています。むろん自然はどこの山でも大切ですが、特に鞍馬では、それらのすべてが神仏とみなされているからです。それはなぜかというと…。
次のページでは鞍馬寺のご本尊が山と自然であるというお話をします。