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お江戸深川で、日本一特殊な閻魔様に会おう(3ページ目)

1月16日は、今年はじめての閻魔様のご縁日。この日は地獄の釜も開くとされ、日本各地の閻魔像のある寺で、ご開帳や法要などが行われます。中でもお勧めは、東京の深川にある巨大なハイテク閻魔様です。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


仏像の世界では
変身バージョンや裏キャラが多い

閻魔様とは似ても似つかない優しい顔のお地蔵さん(東京、高幡不動にて)
このごろ巷では、仏像ウォッチングが人気です。仏像には、それはもうさまざまな種類があり、手の形や持物などで見分けることができます。長年の仏像マニアであったわたしとしても、「おお、やっと世間も、仏像の面白さに目覚めてくれたか」と感慨深いものがあります。

仏像の世界は複雑怪奇なため、正確に見分けるには、いろいろと予備知識が必要ですが、その中でも、心得ておいていただきたい重要なことは、「一見、まったく違う形で性質も違う仏像同士が、実は変身バージョンであったり裏キャラであったりする場合がある」ということです。

たとえば観音菩薩などは、もともとは手が2本、頭はひとつの普通の人間と同じ姿だったのに、千手観音、十一面観音などの変身バージョンが数々あります。また、激しい怒りの表情で有名な不動明王は、実は、穏やかな大日如来の裏キャラです。

なぜそのように変身が多いかと言うと、仏教の教えを人に伝えるために、仏様はいろいろな性格をお持ちであるということを、ビジュアルでわからせる必要があったからです。閻魔様とお地蔵さんの関係も、その代表例です。

閻魔様は、
本当は心優しいのだ

人が亡くなると、閻魔様は、その人の罪を諮って、地獄行きか極楽行きかを決められます。地獄とひとくちに言っても、焦熱地獄などいろいろな種類がありますが、どんな地獄に落ちても、おそろしい目に遭うことは間違いありません。閻魔様は、本当は、そんなところに人を落としたくないと願っておられるのです。

「これだけ地獄の恐さを言って聞かせても、おまえたち人間は、まだ罪を犯すのか?」
閻魔様は、そのように考え、心の底では、何とかしてこのダメな人間を救ってやろうと、涙を流されているとか。
京都、宝積寺の閻魔様は、何人もの手下と並んでいる。真ん中の方は、閻魔様の優しさを説明する副住職さん

たとえば、この京都の宝積寺の閻魔様は、何人かの眷属(主になる仏像の手下的存在)を従えておられます。これは、自分ひとりでは、人の罪を正しく判断することはできないので、いろいろな人の意見を聞いて、なるべく公正に審判しようではないかというお気持のあらわれとか。これは、現代の裁判にも、一脈通じるところがあるようです。

閻魔様は、
お江戸の人気者

西新宿、太宗寺の閻魔様は、3mほどもある巨大像
閻魔像は、深川の法乗院だけでなく、お江戸のあちこちにあります。たとえば、江戸時代は宿場町だった新宿二丁目にも、驚きの巨大閻魔様が鎮座しています。

江戸だけでなく、京都にも、そのほかの町にも、閻魔像のあるお寺は意外にたくさんあり、1月16日前後にご開帳やなんらかのイベントがあることも多いので、ぜひ、ご近所の閻魔様を探してみてくださいませ。

●新宿の太宗寺の閻魔様には、法乗院の閻魔様とはまた違った、面白い秘密があります。ご興味のある方は、こちらの記事も合わせてごらんください。

●これまでの東京の神社仏閣散歩に関する記事は、こちらもごらんください。

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