神も仏も皆一緒
それが日本古来の信仰の形です
日本には、もともと、神道という宗教がありました。それは、自然界のあらゆるものに神が宿るとするきわめて寛容な宗教なので、のちに伝わった仏教や道教なども取り入れ、神仏習合という日本独自の信仰形態を作ってきました。仏教自体も、成立以前にインドに存在したヒンズー教などの神々を仏様化してたくさん取り入れています。また、日本には、仏教だけでなく、中国古来の道教の要素も伝来しています。そういうわけで、七福神の中には、日本の神様、もとはインドの神様だった仏様、道教の神様などが、ごちゃまぜになっているのです。そのため、七福神コースには、神社だけでなく、お寺も含まれることが多いです。また、コースによっては、お寺だけのところもあります。
七福神のメンバー紹介その1
7人とも福の神として信仰されていますが、その由来はいろいろで、複雑な経緯を経て七福神のメンバーに選ばれています。日本の信仰の形は、本当に面白いものですね。
恵比寿神 |
一般的には、日本神話のイザナギ、イザナミの子である蛭子神とされます。蛭子神は、とある事情から海に流されたため、海からやってくる神様、恵比寿神と同一視されるようになりましたが、本来は別のものだったようです。
このように、もともとは違う由来のものが、いつの間にか神話の神様と同一視される例は少なくなく、福の神とみなされるようになったのは、中世以降のこと。魚と釣竿を持った姿が特徴。
大黒天 |
仏様には、その働きや由来によって四つのカテゴリーがあり、大黒天は、その中の四番目の「天部」というカテゴリーに属します。他の○○天という名のつく仏様も、すべて、その「天部」に属しています。天部の仏様は、もともとはインドで仏教成立以前から信仰されていた土着の神様が、お釈迦様に諭されて仏教に改宗したという由来を持っています。
大黒天は、もともとは、ヒンズー教の3人の最高神のひとりであるシヴァの神で、その怒りの一面を表す怖い方でした。大黒の「黒」という字は、暗黒という意味ですが、日本の神様である大国様(大国主命)と発音が同じであることから、同一のものとみなされ、やがて福の神に変身。打ち出の小槌を持ち、米俵の上に乗った姿が一般的。
■京都の宝積寺には、大黒天が単独で祀られた大黒堂があり、打ち出の小槌は、「打ち出と小槌」と呼ばれています。奈良時代に、聖武天皇がまだ即位前、夢に竜神があらわれ、打ち出と小槌を賜ったということです。詳しくは、こちらをごらんください。
布袋尊 |
メタボなお父さんのような大きなおなかで有名な布袋さんは、実は、中国の唐時代に実在した僧侶です。実際にこのような姿で、袋をかついで諸国をめぐり歩く楽天的な人だったようです。人々から施しを受け、そのお返しに、降雨や吉兆を占ったため、霊力があると崇められ、弥勒菩薩の化身ともされました。
次のページはまだまだ続く、七福神のメンバー紹介です。