寺・神社/宿坊に泊まる

宿坊に泊まる韓国旅 世界遺産海印寺前編(6ページ目)

日本に仏教を伝えたのは、お隣の韓国。ならばルーツは韓国にあるはずだと、調査旅行に行きました。その結果、日本と似た部分、違う部分をいろいろ発見。まずは、世界遺産の海印寺から。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

忍者の印なのに
頭がパンチパーマだっ!

仏像の種類を判別する際には、ヘアスタイルと手の形がポイントとなります
ほーりーさんとわたしは、一般の人とくらべると寺通、仏像通の部類なので、この像に関して、さらなる謎を発見してしまいました。この像は、智拳印と呼ばれる、忍者が化けるときのような手のポーズをしています。そして、ヘアスタイルは、いわゆる大仏系パンチパーマです。この二つの要素がひとつの仏像の中に存在することは、日本ではあり得ないのです。

日本では、智拳印は、大日如来という種類の仏像が結ぶ印です。これは、仏の知恵を表します。忍者は、その知恵にあやかるために、これと同じポーズをとるのです。そして、大日如来はパンチパーマでなく、冠をかぶると決まっています。

うーん、それならこの仏像の種類は何なんだ???

東大寺の大仏様。上の写真の仏像と同じ種類だが、見かけはかなり違う
説明書きを読むと、この仏像は毘盧遮那仏だと書かれています。日本で毘盧遮那仏と言ったら、皆様お馴染みの東大寺の大仏様です。しかし、あれとこれとは手の形が全然違う。

「大日如来ってのは、真言宗の中で一番偉い仏様で、宇宙の中心にあって世界を照らす方ですよね」
「うん、そして、毘盧遮那仏も、同じような性質なんだよね」
「前に読んだ本によれば、大日如来と毘盧遮那仏はもともとは同じもので、日本においてのみ、姿も性質も違うものとして識別されているのだということですよ」
「うーむ。日本の真言宗は、空海が中国からダイレクトに持ってきたもので、朝鮮半島は経由してないから、いろいろと微妙な違いがあるのかもね」


日本では木造の塔が主流だが、韓国では、美しい石の塔が多い。韓国は、よい石が豊富なので、仏像も石のものがよく見られる。木の扱い方は日本のほうが上手だが、石の彫刻は日本よりずっと優れていると思われる
ほーりーさんとのマニアック過ぎる会話はいつ果てるともなく続きます。が、夜も更けてきたので、本日はここまで。次回の記事にて、宿坊としての海印寺の印象と、世界遺産海印寺が誇る「高麗八万大蔵経」についてのお話をします。これは、本当に世界でここにしかない貴重な文化遺産ですよ。

それにしても、日本の寺と韓国の寺は違いすぎる。日本の宿坊と似たようなものを想像していたら、とんでもない目に!

●その前に、日本の宿坊がどんなものかを知っておきたい方は、こちらをクリック!

●さらに深く日本の宿坊について知りたい方には、「お寺に泊まる 京都散歩」もお勧め!

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