寺・神社/宿坊に泊まる

宿坊に泊まる韓国旅 世界遺産海印寺前編(4ページ目)

日本に仏教を伝えたのは、お隣の韓国。ならばルーツは韓国にあるはずだと、調査旅行に行きました。その結果、日本と似た部分、違う部分をいろいろ発見。まずは、世界遺産の海印寺から。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

韓国は丹青

芸術的な丹青。これぞ韓国の色彩だと、金さんは言う
韓国の寺を語る上で欠かせない言葉が「丹青」(ダンチョン)です。写真をごらんになるとわかるように、青・赤・黄・白・黒の、五つの色を素にした模様が描かれており、これが丹青です。

丹とは赤という意味で、青は文字通り青です。「青」は木、「赤」は火、「黄」は土、「白」は鉄、「黒」は水を象徴しており、東洋の考え方、「陰陽五行」がもとになっています。韓国の寺や宮殿など伝統的な建物は、この五つの色を使った華麗な文様で飾られ、韓国の人は、「丹青は、韓国を象徴する色彩の美である」と言います。


日本は「あおによし」

ここで、「あおによし」という言葉を思い出してください。美しい奈良の都を歌に詠むときに使う枕詞で、漢字で書くと「青丹よし」です。青は緑色、丹は朱赤。平城京では、多くの建物がその色に塗られており、その美しさを「あおによし」と讃えたのです(これには諸説あるみたいですが、主流になっているのは、この解釈)。つまり、奈良時代には、青丹が日本を象徴する色彩の美だったわけです。なあんだ、韓国とよく似た話では。
薬師寺の西塔は、昭和時代に再建。平城京の色と形を忠実に再現したもの。東塔と見比べると、もともとは日本の寺も案外派手だったことがわかる
薬師寺東塔は、白鳳時代に建てられたもの。長い歳月を経て色はあせたが、もともとは、西塔のような「あおによし」の色合いであった


「あおによし」の美を実地検分したければ、奈良の薬師寺に行ってください。二つの三重塔があります。ひとつは、天平時代に創建されたままの東塔、もうひとつは昭和後期に再建された西塔です。東塔は古びた木の色がそのままで、西塔は、朱色と緑色に塗られています。西塔は、本来、この塔が建てられた当時の「あおによし」な姿を忠実に再現しているのです。また、薬師寺は、金堂、講堂などの主な建物も、昭和に再建されているので、内部も、韓国の青丹に似た華やかな色彩の絵で飾られています。やっぱり、奈良のルーツは韓国にあることが、ここで判明。

次のページはますます深まる韓国の寺の謎。なぜ韓国の仏像は古くても金ぴかなのか?
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