温泉/甲信越の温泉

中房温泉!自家源泉と湯巡りの一軒宿(3ページ目)

中房温泉は北アルプス山中の一軒宿。未利用含め36の自家源泉数は日本一ともいわれます。16ヶ所もの浴場の他、料理や暖房も温泉利用。源泉も見学可能で博物館状態!一泊では到底足りない温泉三昧の宿です。

藤田 聡

執筆者:藤田 聡

温泉ガイド


湯元大弾正を眺めながら浸かる月見の湯

中房温泉月見の湯
月見の湯はすべすべ感と硫黄臭の強さで、泉質的にトップクラス。湯元大弾正を眺めながらの入浴は、源泉と一体になった気分。この気分こそが、中房温泉の醍醐味に他ならない。

数ある露天風呂の中で最も印象的であったのが、月見の湯です。中房温泉では、源泉の近くに露天風呂が作られており、お湯が湧いて、樋を流れて来て、湯船に入るまでの過程の全てを視界に納められる露天が多いのですが、ここもその一つです。

中房温泉湯元大弾正
湯元大弾正の迫力は、何処から見ても凄い。
温泉の最高の形態として、源泉自体が湯船になった足元湧出温泉がありますが、湧出温度が適温の場合にのみ可能な方法です。中房温泉のように源泉が熱湯の温泉では、源泉から湯船に入るまでの過程を視界に納める配置こそが、足元湧出に代わる最高の温泉の形態といえると思います。

中房温泉には、このような露天が多数あるだけでなく、見学可能な源泉も多数あり、内湯に居ても源泉を思い起こすことが可能になっています。温泉にとって最も大切なものは源泉。その源泉との一体感を常に感じる事こそが、中房温泉の醍醐味に他ならないのです。

中房温泉空冷
湯元大弾正からの源泉を、途中で空冷する独自開発の装置。
しかも、月見の湯の源泉である湯元大弾正は猛烈な迫力。露天から少し離れていますが、向こう側の山の壁面で、猛然と源泉が噴出している様子は、一瞬目を疑う程。その奇観を見ながらの入浴は、まさに源泉との一体感を感じるものです。

大自然の温泉パワーが、自分に乗り移って来るような、そんな妄想を膨らませながらの入浴は、温泉好きにとって最高に楽しい瞬間に違いありません。

樋の途中には空冷装置があり、高温の源泉を加水せずに冷却しています。お湯が飛び散って危険なので、遮蔽物を被せてあるものが多いですが、ここは敷地の外れの方にある為か、存分に見学することが出来ました。一番上の写真でも、ガイドの頭の上の方に小さく写っているものが、これです。

実は、昨晩雨が降り、朝も冷え込んだので、お湯が少し温かったのが少し残念でした。そう思うのも、あと少し温度が高ければ、すべすべ感の強さと硫黄臭の強さで、中房温泉で最も良い湯であった可能性を感じるからです。このように、翌朝はどうしても温くなると思われますので、次回泊まる時は、真っ先に月見の湯に行こうと思っています。

→次ページでは、最も良かったねっこ風呂と日帰り施設を紹介します!>>>
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