世界遺産/中国の世界遺産

黄龍/中国(4ページ目)

刻一刻色を変える湖沼は黄色い石灰棚に囲まれて、石灰棚は龍の鱗のように積み重なり、山から落ちる川はまるで天へと翔ける龍を思わせる。今回は4,000年も前から神龍伝説が伝わる中国の世界遺産「黄龍」へご招待!

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

黄龍のハイライト、五彩池と黄龍寺

五彩池

上から見下ろした五彩池。角度が変わるとまた独特の色を見せる

色彩がもっとも盛んに変化するのが遊歩道のもっとも奥にある五彩池だ。

太陽の角度はもちろん、水深や石灰華、水生植物、山や太陽や雲の映り込み具合で色が変わるので、ここはとにかくじっくり見てほしい。人間の五感のひとつ「色」の不思議がこれほど感じとれる場所はないからだ。

この脇にたたずんでいるのが黄龍後寺だ。黄龍寺は前・中・後の3寺からなっており、後寺がもっとも奥の寺となる。明代に造られたもので、黄龍真人を祀っている。

この近くには黄龍洞と呼ばれる洞窟がある。ここの水は黄龍が残した奇跡の水で、あらゆる病気を治す効果があるという伝説が残っている。

野生生物の楽園 黄龍

金沙舗地

金沙舗地。龍が湖から起き上がり、天へと翔け上がるその身体を水が滑るように流れていく。そんなイメージ

黄龍は世界的に例を見ない奇跡的な自然景観を見せるだけでなく、豊富な降水量に支えられた山々や渓谷にはスギやマツ、モミをはじめとする木々が深い森を育んでいる。

ここはIUCN(国際自然保護連合)のレッド・リストで絶滅危惧種に指定されているジャイアント・パンダやレッサー・パンダ、金糸猴(キンシコウ)などの生息地にもなっており、生物保護の観点からも重要な場所として知られている。

黄龍の近くには同じく世界遺産である「九寨溝の渓谷の景観と歴史地域」と「四川ジャイアント・パンダ保護区群」があり、それぞれを結んで大々的に自然を保護する活動も計画されているという。

ただ、観光客が増えたことから、黄龍や九寨溝の遊歩道付近に野生のパンダが姿を現すことはほとんどなくなったようだ。もっとも、仮に出てきたとしても近づかないように。ジャイアント・パンダはクマ科の動物であることをお忘れなく。
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