野生の王国セレンゲティで生命に出会う
果てしない平原を覆い尽す数百万頭のヌーの群れ。秋のある日、ヌーたちはワニたちがひしめくマラ川を前に立ち止まり、勇気ある1頭のダイビングをきっかけに、大移動を開始する。自然界最大のビッグイベント、グレイト・ミグレーション。今回はアフリカでもっとも有名なサバンナ、タンザニアの世界遺産「セレンゲティ国立公園」を紹介する。
マラ川の合戦――肉食動物VS草食動物
大地を覆うヌー。総数は数百万ともいわれる ©リゾートアンドサファリ
マラ川を集団で渡るヌー
一方獲物となるヌーやシマウマなどの草食動物たちは、ケニアのマサイマラ国立公園やその周辺から続々と集結し、幅約100mのマラ川を挟み、じっとその瞬間を待つ。最終的にその数100万~300万にもなる集団が、対岸に広がる雨季のセレンゲティを目指す。
肉食動物VS草食動物――まるで全面戦争を思わせるような緊張感がサバンナに張り詰める。
セレンゲティの名物、大移動=グレイト・ミグレーション
堤を駆け上がるヌーの群れ。伝説では、新しい動物のアイデアがなくなった神様が、ウシの角、ヤギの髭、ウマのたてがみ、ウマの尻尾を合わせてヌーを創ったといわれている
ワニがいるかもしれない。深さもわからない。そんなマラ川に1頭のヌーがダイブすると、堰を切ったようにヌーたちの大移動がはじまる。グレイト・ミグレーションだ。
獲物を探すライオンのメス
川を渡り切り、高い堤を駆け上がると、今度はライオンやハイエナ、チーター、ジャッカルたちとの戦いだ。身体の大きさで勝るヌーたちは集団で壁を作り、プレデターたちの攻撃をかわす。群れの動きについていけないもの、弱いものが、サバンナではまず犠牲になる。
弱肉強食。セレンゲティには自然界の掟そのままの景色が広がっている。