アフリカの危機遺産
■ギニア及びコートジボワールニンバ山厳正自然保護区
1981年、自然遺産(ix)(x)、1992年
鉱山開発、大規模な難民流入、密猟、森林焼失など。紛争の悪化により、特にコートジボワール側は政府でさえも管理できない状態にある。
■ニジェール
アイルとテネレの自然保護区群
1991年、自然遺産(vii)(ix)(x)、1992年
当初懸念された軍事的衝突と市民暴動は沈静化しつつあるものの、密猟や天然資源の不法採掘、それに伴う土地の浸食が深刻化している。
■コンゴ民主共和国
ヴィルンガ国立公園
1979年、自然遺産(vii)(ix)(x)、1994年
ルワンダ内戦の波及、難民や軍の流入に伴う人口増加。それに伴って燃料や食料となる動植物の採取・密猟が激増した。ルワンダ内戦が収束に向かうと今度はコンゴ国内の内戦が激化して、状況はさらに悪化した。
■エチオピア
シミエン国立公園
1978年、自然遺産(vii)(x)、1996年
周辺の道路開発や人口増加による野生動物の減少。人口のモニタリングや、農業エリアの増加停止、家畜や犬の制限などが要求されている。
■コンゴ民主共和国
ガランバ国立公園
1980年、自然遺産(vii)(x)、1996年
反政府勢力の不法駐留、難民流入、密猟、鉱山開発など。1992年、絶滅の危機に瀕していたキタシロサイの保護を行って一度は危機遺産リストから外されたものの、紛争の激化に伴い1996年に再登録。キタシロサイはふたたび絶滅の危機にある。
■コンゴ民主共和国
オカピ野生生物保護区
1996年、自然遺産(x)、1997年
難民流入、密猟、森林伐採、金鉱開発など。1997年にコンゴ東部一帯に広がった紛争のため、カフジ-ビエガ国立公園とともに危機遺産リストに登録された。状況はカフジ-ビエガ国立公園と同じ。
■コンゴ民主共和国
カフジ-ビエガ国立公園
1980年、自然遺産(x)、1997年
戦争や内戦に伴う森林伐採や密猟、鉱山開発、難民流入。難民ばかりでなく武装した軍隊の不法駐留が密猟や自然破壊を拡大している。
■中央アフリカ
マノヴォ-グンダ・サン・フローリス国立公園
1988年、自然遺産(ix)(x)、1997年
重武装したハンターによる密猟や非合法の放牧による自然破壊。スーダンやチャドといった国外からの密猟も多く、あまりの治安の悪化から、開発も観光も中止されている。
■コンゴ民主共和国
サロンガ国立公園
1984年、自然遺産(vii)(ix)、1999年
登録理由は他の国立公園と同じ。ガランバ国立公園と同様、シロサイ絶滅の危機を脱して1992年に一旦は危機遺産リストから外された。しかしその後の紛争激化に伴って最前線と化し、多くの施設が破壊された。1999年にふたたび危機遺産リストに登録され、コンゴの5つの世界遺産はすべて危機遺産となった。
■エジプト
アブ・メナ
1979年、文化遺産(iv)、2001年
農業用地の開発計画がもたらした劇的な水位上昇によって乾燥した土壌が軟化。周辺の多くの建築物が崩壊の危機にある。
■コートジボワール
コモエ国立公園
1983年、自然遺産(ix)(x)、2003年
密猟や密猟者による熱帯雨林の焼却、不法な農業や放牧活動による自然破壊。紛争の影響で、国立公園のほとんどの地域が政府の管理外にある。
タンザニアの危機遺産キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群の中心となるキシワニ島の港。左のダウ船に乗って上陸した。まったく普通の農村で、保護が不十分なのは一目瞭然。 |
キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群
1981年、文化遺産(iii)、2004年
海水や潮風などの浸食による遺産の状況悪化と管理・保護体制の不備。遺産の範囲拡大とその保護の必要性も指摘されている。
■セネガル
ニオコロ-コバ国立公園
1981年、自然遺産(x)、2007年
密漁が増加しているのと同時にダム計画が進行中。実際公園の数km上流にダムが完成した場合、ガンビア川の洪水がなくなり、草原が消滅するなど、生態系への深刻な影響が懸念されている。
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