世界遺産/世界遺産ランキング

夫婦・恋人ふたりで誓う愛の世界遺産BEST6(3ページ目)

世界遺産に込められた永遠の愛。今回は世界遺産の中でも特に「愛のモニュメント」と言える6つの世界遺産を紹介する。長年連れ添った夫婦で、恋の炎を燃やす恋人同士で、永遠の愛をささやいてみてはいかが?

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

古代エジプトの愛と美の象徴、アブ・シンベル&テーベ(エジプト)

アブ・シンベル
アブ・シンベル小神殿=ハトホル神殿。愛する正妃ネフェルタリとの結婚を記念したもの。※写真はクリックで拡大
アブ・シンベルには大小ふたつの神殿がある。小神殿は愛と美の女神ハトホルを祀ってあることからハトホル神殿、あるいは王妃ネフェルタリに捧げられたことからネフェルタリ神殿と呼ばれている。

ラムセス2世は8人の妃をめとったと言われるが、ネフェルタリは第一王妃で、正妃としてラムセス2世が15歳のときに結婚した。

ラムセス2世は「建築王」と呼ばれたほどエジプト各地に神殿を建てたが、ネフェルタリの像もあちこちに残している。このように王妃を像にして大きく扱う習慣は当時なく、また、ネフェルタリ以外にこれだけの像が残っている王妃もいないことから、ラムセス2世の彼女への強い想いが汲み取れよう。実際古代エジプトでもネフェルタリの美しさとふたりの仲のよさは有名だったようで、文字通り愛と美の象徴となっていた。

ラムセス2世が結婚25周年記念にネフェルタリに贈ったのがハトホル神殿だ。その入り口にはラムセス2世の像に挟まれたネフェルタリの像が祀られている。この神殿の完成後まもなくネフェルタリは亡くなってしまうが、ラムセス2世はテーベの墓を美しく装飾して、「私が愛したのはただひとり。あなた以上の人はいない」と刻み込んだ。

政略結婚が当たり前で、神たるファラオが人たる姿を見せることがはばかられた時代にあって、ラムセス2世はその愛を隠そうとしなかった。アブ・シンベルは世界遺産のはじまりを記念するモニュメントであると同時に、愛と美のモニュメントでもある。

セレンゲティの大自然で命のつながりを確かめよう(タンザニア)

セレンゲティ
ゾウの群れ。ゾウの子供は家族団によって守られて、命がつながれる。※写真はクリックで拡大
愛とは命のつながり。そのあまりの神秘から、世界中の多くの原始宗教が性器に神を見たり、女性を神の使いと考えたりしてきた。世界に不思議なものは数あれど、「生命」ほど不思議なものはない。命は命に惹かれ、愛し、子供を作り、命は未来へと紡がれていく。

サバンナはいつもそんな真剣な命のやり取りの場だ。たとえばゾウの親は家族団を作って子供たちを囲み、ライオンなどの肉食動物から命がけで子供を守る。逆にライオンは、成功率が高くない狩りを繰り返し、時には自分よりもはるかに大きな草食動物の反撃にあい、命からがら敵をしとめて子供に肉を分け与える。

圧巻はヌーの大移動だ。ヌーは毎年5~7月にケニアのマサイマラ国立公園へ、11~1月には逆にセレンゲティに戻る。マラ川を渡る数百万頭のヌーと、それを待ち受けるワニやライオンの命をかけたイベントは、自然界最大のスペクタクルと言えるだろう。

命がただの電気信号や物質のやり取りだと考えられるようになってしまったいまこそ、本物の命のつながりを自分の目で見て確かめて、大事な人と本当の愛の姿を見つめなおしてみてはいかがだろう。

ちなみにセレンゲティで見られる動物は、ビッグ・ファイブと呼ばれるゾウ、サイ、ライオン、ヒョウ、バッファローの他に、チーター、シマウマ、イノシシ、ハイエナ、カバ、サイなど35種以上にのぼる。

前のページへ
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 8
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます