古代エジプトの愛と美の象徴、アブ・シンベル&テーベ(エジプト)
アブ・シンベル小神殿=ハトホル神殿。愛する正妃ネフェルタリとの結婚を記念したもの。※写真はクリックで拡大 |
ラムセス2世は8人の妃をめとったと言われるが、ネフェルタリは第一王妃で、正妃としてラムセス2世が15歳のときに結婚した。
ラムセス2世は「建築王」と呼ばれたほどエジプト各地に神殿を建てたが、ネフェルタリの像もあちこちに残している。このように王妃を像にして大きく扱う習慣は当時なく、また、ネフェルタリ以外にこれだけの像が残っている王妃もいないことから、ラムセス2世の彼女への強い想いが汲み取れよう。実際古代エジプトでもネフェルタリの美しさとふたりの仲のよさは有名だったようで、文字通り愛と美の象徴となっていた。
ラムセス2世が結婚25周年記念にネフェルタリに贈ったのがハトホル神殿だ。その入り口にはラムセス2世の像に挟まれたネフェルタリの像が祀られている。この神殿の完成後まもなくネフェルタリは亡くなってしまうが、ラムセス2世はテーベの墓を美しく装飾して、「私が愛したのはただひとり。あなた以上の人はいない」と刻み込んだ。
政略結婚が当たり前で、神たるファラオが人たる姿を見せることがはばかられた時代にあって、ラムセス2世はその愛を隠そうとしなかった。アブ・シンベルは世界遺産のはじまりを記念するモニュメントであると同時に、愛と美のモニュメントでもある。
セレンゲティの大自然で命のつながりを確かめよう(タンザニア)
ゾウの群れ。ゾウの子供は家族団によって守られて、命がつながれる。※写真はクリックで拡大 |
サバンナはいつもそんな真剣な命のやり取りの場だ。たとえばゾウの親は家族団を作って子供たちを囲み、ライオンなどの肉食動物から命がけで子供を守る。逆にライオンは、成功率が高くない狩りを繰り返し、時には自分よりもはるかに大きな草食動物の反撃にあい、命からがら敵をしとめて子供に肉を分け与える。
圧巻はヌーの大移動だ。ヌーは毎年5~7月にケニアのマサイマラ国立公園へ、11~1月には逆にセレンゲティに戻る。マラ川を渡る数百万頭のヌーと、それを待ち受けるワニやライオンの命をかけたイベントは、自然界最大のスペクタクルと言えるだろう。
命がただの電気信号や物質のやり取りだと考えられるようになってしまったいまこそ、本物の命のつながりを自分の目で見て確かめて、大事な人と本当の愛の姿を見つめなおしてみてはいかがだろう。
ちなみにセレンゲティで見られる動物は、ビッグ・ファイブと呼ばれるゾウ、サイ、ライオン、ヒョウ、バッファローの他に、チーター、シマウマ、イノシシ、ハイエナ、カバ、サイなど35種以上にのぼる。
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