今回の行き先は【島根】 鉄路消えても残る名建築、旧 大社駅 |
鉄路を失った駅の駅舎は取り壊されて、バスセンターや公共の建物に変わることが多い中、保存の機運が高まり大事に保存されている所もいくつか存在します。
今回は鉄路を失いつつも当時の建物が残されている駅の中から、島根県にある旧 大社(たいしゃ)駅を紹介します。
鉄道が廃止された後も立派な駅舎が残っており、足を踏み入れた瞬間、たくさんの乗客で賑わっていた頃の雰囲気を今でも感じることができる場所なのです。
出雲大社への参詣客のために作られた大社駅
立派な建築として現在も残る旧 大社駅。1990年に鉄道が廃止された後も大事に保存されています(2005年11月撮影) |
縁結びの御利益でも知られる出雲大社へは、日々たくさんの方が参詣に訪れています。そんな参詣客を運ぶ目的で国鉄大社線が1912年(明治45年)に開通。出雲大社から歩いて15分ほどの距離に作られた大社駅(Yahoo! 地図情報)は、出雲大社への玄関口となりました。
旧 大社駅の由緒を記したプレート。賑わった頃をイメージしたイラストに注目です(2005年11月撮影) |
1990年(平成2年)3月31日付をもって、大社線は78年の歴史に終止符を打ちます。大社駅も大社線と運命を共にして廃止されてしまいました。
しかし立派な駅舎は、街に住む人たちの心象に強く残っていたことから保存の機運が高まり、廃止当時の雰囲気のままで保存されることになりました。
その後、2004年(平成16年)には国の重要文化財にも認定され、現在に至っています。
今も現役のような息づかいを見せる大社駅
旧 大社駅の正面入口。駅構内の見学が可能です(2005年11月撮影) |
正面入口の前に立つと、今にも列車を降りてきた乗客が出てきそうな錯覚に陥ります。まるで現役の駅のような雰囲気がするのは駅名を記した看板のせいでしょうか。
では、入口から中に入ってみましょう。
天井の高い待合室には、廃止当時の時刻表がそのまま残ります。ホームに出ると今にも列車が入って来そうですね(2005年11月撮影) |
蒸気機関車D51形もたたずむ旧 大社駅。レールが途切れているのを見なければ現役の駅に見えてしまいます(2005年11月撮影) |
また反対側のホームには蒸気機関車D51も静態展示されています。ホームの先のレールが途切れているのを見なければ、今にも列車が入って来そうな雰囲気を醸し出していました。
駅が廃止されてからは20年弱が経過していますが、静寂の中で昔のにぎわいをイメージしてみるのも旅ならではの楽しみと言えるのではないでしょうか。
大正時代の名建築である駅舎が今も残る旧 大社駅をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。落ち着いた情緒が味わえますので、出雲大社への参詣の行き帰りにでもふらっと立ち寄ってみて下さい。
旧 大社駅へのアプローチ
岡山と出雲市を結ぶ特急「やくも」 |
- 地図:Yahoo! 地図情報
- 公共交通機関の場合
<飛行機>
出雲空港から、出雲大社行きの空港連絡バスに乗車し、一畑電車出雲大社前駅 下車。出雲大社とは反対方向に10分ほど歩く。
または出雲市駅行きの空港連絡バスに乗車し、出雲市駅にて出雲大社、日御碕方面へ向かう一畑バスに乗車し、大社駅通りバス停または吉兆館前バス停下車。
<鉄道>
山陽新幹線 岡山駅より出雲市行きの特急「やくも」号に乗車し、出雲市駅へ。出雲大社、日御碕方面へ向かう一畑バスに乗車し、大社駅通りバス停または吉兆館前バス停下車。
東京と出雲市を結ぶ寝台特急「サンライズ出雲」号も利用できます。
- 車の場合
中国道から米子道経由で山陰道 斐川インターチェンジへ。県道と国道431号線を経由して、出雲大社方面を目指す。
出雲大社まで来たら、道の駅 大社ご縁広場の方向へ進み、道の駅を少し通り過ぎた先に旧 大社駅がある。