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綿業会館「ハッピーアペリティフin大阪」(2ページ目)

2008年6月5日に「ハッピーアペリティフin大阪」が船場・三休橋筋にある日本近代建築の至宝「綿業会館」で開催されました。そのレポートをお届けします。モダンでシックな「大大阪」の時代を感じてください。

執筆者:陸奥 賢

綿業会館見学ツアー

モダンでシックな「大大阪」の息吹が感じられる談話室。あまりの美しさに息を呑みます。
今回のハッピーアペリティフでは普段はなかなか入ることが出来ない綿業会館の特別公開のツアーが開催されました。まず一番最初に案内されたのが本館3階にある「談話室」。イギリス・ルネッサンス初期のジャコビアン・スタイルで吹き抜けの天井となっており、綿業会館の数ある部屋の中でももっとも豪華絢爛で素晴らしいと評される部屋です。

有名なタイルタペストリー。まるで綿織物のように清水焼窯変タイルが天井高くまで敷き詰められています。
とくに日本の近代建築史上でも傑作として有名なのが壁面にあるタイルタペストリーで、これは京都・泉涌寺の窯場で焼かれた清水焼窯変タイルです。綿業会館を設計した建築家の渡辺節は、助手を使わずに自分ひとりでこつこつと仕上げたそうで、見る人を圧倒させる存在感を感じます。

特別室です。談話室や会議室に比べると小ぶりな部屋ですが、それだけに引き締まった格調の高さを感じます。
有名な談話室の次に案内されたのが「特別室」(本館3階)。窓や壁が直線的なのに対して、天井・家具などは曲線で組み合わせるというクイーン・アン・スタイルで作られています。

名寄帳です。岡田啓介、芦田均、鳩山一郎といった日本の歴代首相の名前がズラリと並んでいました。
こちらは戦前は皇室ご用達の部屋だったそうで、別名「貴賓室」とも呼ばれています。長いあいだ「開かずの間」とされていたそうで、入室するだけでも非常に貴重な体験といえます。この特別室では昔の綿業会館の写真アルバムや名寄帳も展示されていました。

会議室です。こちらは古代ローマ帝政時代の美術に影響を受けたフランスのアンピール・スタイルとか。各部屋ごとに様式が変わっていて西洋建築史の教科書のようです。
そして最後に案内されたのが会議室(本館3階)。こちらは通称「鏡の間」と呼ばれるアンピール・スタイルで、これはフランス様式です。木目調の大理石やアンモナイト化石の入った天然石を床石に使用したりと、これまた数寄を凝らしたものでした。

アンモナイトが入った大理石の床石。普通の大理石でも凄いのに化石入り。数寄を極めています。
綿業会館のユニークな部分はイギリス、フランス、イタリア、アメリカなど世界各国の建築様式で各部屋を装飾していることで、これは日本綿業倶楽部の会員の好みに応じて、それぞれ自分の好きな部屋で楽しんでもらおう……という意図でこういう雑多なスタイルになったといわれています。また世界各国の要人を招くので、それぞれのお国柄を反映した部屋を用意するほうがホスピタリティにもなるという考え方もあったようです。

ちなみに綿業会館も戦災にあったのですが大阪大空襲であたり一面が焼け野原になる中で、綿業会館だけは窓ガラス1枚、カーテン1枚の軽微な被害で済みました。これは窓の開口部にフランス製の耐火ワイヤーガラスを使用していたからで、ただ内装や調度品に贅を凝らしただけではなく、近代ビルとしていかに優れた居住性、機能性を有していたかの証明でもあります。建築から70年以上経つのに、いまだに社交クラブとして現役で使用されているという事実からもそれは明らかでしょう。

今回ガイドが参加したのは「ハッピーアペリティフ」公開ツアーでしたが、じつは毎月第4土曜日に完全予約制で見学ツアーを開催しています。大阪旅行のさいにぜひ一度はご鑑賞を!
さて、今回ガイドが体験したのはハッピーアペリティフの特別限定の見学ツアーでしたが、じつは綿業会館では毎月第4土曜日に館内見学ツアーを実施しています(完全予約制。第1部は11:00から見学・昼食付で1名2500円。第2部は14:30から見学のみ500円。それぞれ定員35名。申し込みなど詳細はこちらを参照してください)。

ハッピーアペリティフは年に1度の催しですが、館内見学ツアーは月に1度は開催されていますので、素晴らしき「大大阪」の時代をぜひとも体験してみてください。

綿業会館だけではありません。
モダンでレトロな大阪観光スポット「三休橋筋」

ハッピーアペリティフにも出店していた「Four de h(フール・ドゥ・アッシュ)」のパン。三休橋筋にある有名フランスパン屋さんです。
さて、綿業会館で開催されたハッピーアペリティフについて色々とご紹介させていただきましたが、近年、モダンでレトロな街道として注目を浴びているのが綿業会館のあるストリート三休橋筋です。

老舗の蕎麦屋や鰻屋、日本料理屋があれば、小粋なカフェ&バーやフレンチ、イタリアンなどが並んでいて、ストリートを歩くだけでも楽しい気分になれます。綿業会館の見学のあとにはぜひともストリート散策に出てください。モダン大阪の奥深さに触れることが出来ますよ。

<DATA>
■社団法人日本綿業倶楽部「綿業会館」館内見学ツアー
○住所:大阪市中央区備後町2-5-8
○日時:毎月第3土曜日
○料金:第1部(11:00~)見学・昼食つき 2500円
    第2部(14:30~)見学のみ 500円
    ※各部定員35名
○アクセス:大阪市営地下鉄「本町」駅より徒歩約5分
○地図:Yahoo!地図情報
○お問合せ:06-6231-4881(代)
○HP:綿業会館
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