月に一度のポッドキャストChocolatとのコラボレーションでお届けしている記事。今回の共通テーマは、「在日フランス人の目でみる日本の住まい」です。5/31付けのChocolatではエッセイストとしての人気も高いDora Tauzinさんの、All About フランス語ではフランス人建築家でBEREDER株式会社代表Frederic BEREDERさんのインタビューをお届けします。Fredericさんによる地方色溢れるフランスのお家のスケッチもあわせてお楽しみください。
時と共に姿を変えるプロヴァンスのお家
愛犬と共にお仕事にいそしむFredericさん |
Frederic:日本の住宅についてお答えする前に、まずは une maison provençale(プロヴァンスの家)についてお話できればと思っています。私がProvence(プロバンス)出身ということもあるのですが、une maison provençaleは日本の住宅のanti-thèse(正反対のもの)だと考えています。
越智:といいますと?
FredericさんによるProvence風住居のスケッチ |
越智:日本ですと建築時にある程度将来を見据えて前もってある程度の部屋数を確保した家を建てるというのが普通ですけど、そのために費用が高くついて若いカップルにはなかなか手がでませんから、なかなかいい発想ですね。ただ、「いかにも増築しました~」みたいな不自然な感じにならないのでしょうか?
素材の選択と適切な配置がハーモニーを生む
Alsace風住居のスケッチ |
越智:例えば、材料はどういうものが選ばれるのですか?
Frederic:材料は、自然のものを使いますtuiles de toiture(屋根の瓦)はterre cuite(テラコッタ)、mur(壁)はpigments naturels(天然顔料)で彩られた chaux(石灰)で覆われていますし、sol(床)にもterre cuite製のdalles(敷石)がしきつめられるといった具合です。porte(ドア)やfenêtres(窓)にはbois massif(重々しい木)が使用されます。
越智:見ための特徴はどういうものなのでしょう?
Bourgogne風住居のスケッチ |
家屋全体の伝統的な構成方法は父から息子へとひきつがれ、現在でもそうした手法は各地方ごとに独自なものを保っているのです。
越智:地方色を守りつつ、長い時間をかけて一つの家をつくりあげていくというこだわりがharmonieを生むのですね。
次ページでは、世界一モダンな?「日本のお家」について語っていただきます。