『Les Liaisons dangereuses 』(レ リエゾン ダンジュルーズ/危険な関係)といえば、 Laclos(ラクロ)の有名な書簡体心理小説。何度も映画化されているので、そちらの方でご存知という方も多いかもしれません。フランスの貴族社会を舞台とした愛憎関係もつれあう複雑な人間関係とその心理描写が魅力の小説すが、フランス語の中にも忘れてはならないliaisons(リエゾン)が存在します。今回は、お勉強のテーマにそんなliaisonsを選んでみましょう。
リエゾンの基本を学ぼう!
Roger Vadim監督:映画『危険な関係』 |
フランス語を学ばれたことがある方は、おそらく教科書の最初の方でこの呼称と遭遇されていることでしょう。定義をおおまかに説明すると、「ふだん、単独では発音されないconsonne finale muette(語末の無音の子音)が 、voyelle initiale du mot suivant(後続の単語の語頭にある母音)と結びついて発音されるようになる」ことをいいます。
なんだかわかったようなわからないような解説ですね。ちょっと、遊びながらご説明してみましょう。
あんパンが短パンに?リエゾンの罠にご注意
ハリウッド版『危険な関係』 |
例えば、おそらくみなさんもご存知であろう単語でご説明しますと、「小さい」意味する「プチ」をフランス語で書くとpetitとなります。つまり、最後の「t」を発音していないのがわかりますよね。
次に無理矢理ですが、このpetitに日本語の母音で始まる名詞「あんパン(anpan)をつけてみるとしましょう。どうなるでしょうか?
ふつうに考えるとpetit(プチ)+ anpan(あんパン)=「プチアンパン」です。まさにどこかに売ってそうなネーミングですが、これをリエゾンの定義にあてはめてみると、consonne finale muetteとはこの場合petitの「t」のこと、voyelle initiale du mot suivantは「あんパン」の「a」。「t」+「a」=「ta」。従って、フランス語風に発音すると「プチタンパン」に。
この「プチあんぱん」から「プチ短パン」への音の変化がリエゾンというわけです(笑)。日本人にとっては、音が変わってしまうために知っているはずの表現がわからなくなることもしばしば。しっかりマスターして、フランス語との危険な関係にサヨナラしましょう。
次ページではしっかり覚えようリエゾン音の規則をお届けします。