フランス語/フランス語アーカイブ

フレンチスラムでクールに学ぼう!

今フランスで最高にホットな音楽ジャンルとして注目を集めているslam(スラム)。そのはじけ出る言葉のアートをフランス語の勉強に役立てないのはもったいない!クールに学べるスラム学習法をお届けします。

越智 三起子

執筆者:越智 三起子

フランス語ガイド


ポッドキャストChocolatとのコラボレーションとしてお届けしている音声付き記事第11弾。今回の共通テーマは、今フランスで熱い注目を集めているSlam(スラム)。All Aboutでは、Slamで学ぶフランス語学習法を、Chocolatではカリスマslameur(スラマー/スラムの実践者)Abd Al Malik(アブダル マリック)のインタビューとこの記事に関する音声もお届けします。

コトバが醸し出す音楽:「Slam」って何?

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98年カンヌ映画祭で新人賞・観客賞を受賞した映画『Slam』
シカゴで生まれ、Marc Levinの映画『Slam』により一躍有名になったSlamは、いわばコトバのアート。審判と演技者をかねる聴衆を前に自作のtexte(テクスト/テキスト)をあらゆる方法で読み上げその出来を競いあう一種のパフォ-ミングア-トで、本国アメリカでは「Poetry Slam」と呼ばれています。

舞台となるのは通常はbar(バー)などの堅苦しくない場所。フランスでは90年代あたりから注目されはじめ、基本はアカペラですが、最近ではこのSlamと音楽の融合化をはかった作品のCDが飛ぶように売れています。

rimes(リム/韻)やassonance(アソナンス/同一あるいは類似の母音の反復)などの詩の技法が取り入れられたtexteでコトバと戯れながら、社会の不正を暴いたり、世の中の問題点を指摘。フレンチスラムの基本スタイルは、内容的にも反社会的なものが多く、誰でも簡単に参加できるということもあって、フランス革命のごとく民衆パワー炸裂といった感じ。絢爛豪華なオペラ座アートとは逆のベクトルをもつ現代アートとして人々の心を魅了しています。

学習例1:アブダル マリックで前置詞を制す!

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BanlieueのスターAbd Al Malikの『Gibraltar』
それではそんなフレンチスラムの中から、まずはアルバム『Gibraltar』(ジブラルタル)で2006年のPrix Constantin(コンスタンタン賞)に輝いたAbd Al Malikの作品『Mourir à 30 ans』(30歳で死ぬこと)を例にお勉強してみましょう。

Banlieue(バンリュー/郊外)のH.L.M.(アッシュ エル エム/低家賃の集合住宅)で光り輝くdiamant(ディヤマン/ダイヤモンド)のように鋭い光をコトバに変えて世の中の不条理をむき出しにするAbd Al Malikの詞は、ただただ聞いているだけでも文学的価値は高いのですが、Slamはもともと詩の朗読ですので、他のシャンソンに比べて日本人にとっては非常にいい聞き取り教材にもなります。

特にこの作品の前半部分は、「Un jour(アン ジュール/ある日)+前置詞+場所を示す名詞」の羅列ですので、フランス語初心者にとってもウレシイ。まずは、リズムグループを意識しつつ音読にはげんで下さい。dans(ダン/~の中で), à (ア/~で), sur(~の上で), chez(シェ/~の家・店で)という前置詞の部分にしぼって聞き取りの練習をするのもいいでしょう。

さらに、使われている動詞も基本動詞ばかりですので、歌詞の丸暗記にチャレンジしてみるのもいいですね。

『Mourir à 30 ans』の試聴、ダウンロードはiTunes storeでも可能。
こちらから試聴もできます。

次ページでは、TV5にソルボンヌ:Slamで学ぶ脱学校!のフランス語をお届けします。
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