両目尻に小じわのある花屋のおじさん:特殊な複数形
花が彩るパリの街角 |
「Et ce rire est celui du mari de la fleuriste, il a des petites rides de malice aux coins des yeux.」
(この笑い声は花屋のご主人のもの 笑うと目に皺が)
このフレーズで使われている複数形のフランス語名詞は、まず、rides (リッド/しわ)とcoins(クワン/端)。両方とも、語尾に-sがついているのでわかりやすいですね。単数形はもちろんsをとった形です。ところが、このフレーズの中には、実はもう一つ複数形の名詞が隠れています。それは、yeux(ィユー/両目)。単数形で「目」は、œil(ウイユ)といって、全く違います。
このように、フランス語の中には、単数形と複数形で形が変わってしまうもの、また発音も変わってしまう名詞がいくつかあります。英語のMr.にあたるmonsieur(ムッシュー)はmessieurs(メッシュー)、Mrs.にあたるmadame(マダム)は、mesdames(メダム)、Miss.にあたるmademoiselle(マドムワゼル)は、mesdemoiselles(メドムワゼル)などは、代表的なものですので覚えておきましょう。
ハムの値段は?:語尾が-s,-x,-zの場合
惣菜屋さんの前に来たアメリは、 79 le jambon à l'os(ハム79フラン)とご丁寧に値段まで解説してあげます。jambon(ジャンボン)は「ハム」、os(オス)とは「骨」を意味するフランス語。jambon à l'os(ジャンボン ア ロス)とは、味をよくするために骨付き肉からそぎ落とされたハムのことで、骨付きのまま売られているものもあります。ここで使われているosは単数形。ではこの単語のように、最初から語尾が-sの名詞はどのようにして複数形をつくればいいのでしょうか?正解は、「そのまま」。つまり、複数形もosです。普通はfils(フィス/息子)のように、単数形で語尾が-sのものは、複数になっても綴りも発音も変わりません。ただし、このosは、複数形になると発音が「オ」と変わる特殊な例ですので覚えておきましょう。
さらに、複数形になっても形が変わらないものに、語尾が-xと-zの場合があります。prix(プリ/値段)や、nez(ネ/鼻)などがその例で、やはり、単数形も複数形も同じになります。
ゴールは、新聞を売っている売店:語尾が-alの場合
「新聞」の複数形は特殊な形 |
さて、このフレーズの中にも一つ複数形が隠れているのですが、おわかりでしょうか? 正解は、journaux(ジュルノー/新聞)。単数形は、journal(ジュルナル)です。このように、 単数形の語尾が -al(アル) で終わる名詞の複数形の語尾は-aux(オー)となります。cheval(シュヴァル/馬)→chevaux(シュヴォー)、hôpital(オピタル/病院)→hôpitaux(オピトー)といった具合です。ただし、festival(フェスティヴァル/祭)という単語の複数形はfestivalsで例外もないわけではありません。
また、同じように、複数形にすると語尾が-xになる名詞には、単数形の語尾が-au,-eau,-euで終わる名詞があげられます。joyau(ジョワィヨ/宝石)→joyaux、bateau(バトー/船)→bateaux、feu(フー/信号)→feuxといったパターンが一般的ですが、pneu(プヌー/タイヤ)のように例外的に複数形にするとpneusとsをとるものもありますので、辞書での確認をおススメします。
さらに、語尾が-ailや-ouで終わるものは、基本どおり-sをつけて複数形にするものがほとんどですが、これらの名詞の中にも、例外的にtravail(トラヴァイユ/仕事)→travaux(トラウ゛ォ)のように、-ailが-auxに変化したり、caillou(カイユー)→caillouxという風に語尾が-xで終わるものがいくつかあるのであわせて覚えておきたいですね。
なんだか例外も多く、苦難の道のりという感じではありますが、案内上手のアメリをまねて、辞書をお友達に頑張りたいものですね。複数形の作り方で道に迷ったら、ぜひこのページまで戻って来て下さい。
それでは、アメリと同じセリフでお別れを。
「Et moi je vous laisse ici. Au revoir.」(ここでお別れ さよなら)。