数々の資格を取得。 |
結婚、出産を経て「食」にこだわった仕事へ
ガイド:出版、編集の仕事から、「食」の仕事へ。一見、まったく異分野への転身と思いますが、どのようなキッカケがあったのでしょうか?
南さん:
社会に出て編集のアシスタントとして携わった学術誌は、人類の社会・自然との共存、生命の尊厳などをテーマにし、環境問題や健康・食文化など、関心をもつようになりました。
広告制作会社で食に関する冊子の編集に携わった後、結婚しフリーランスとなりましたが、自分の仕事のテーマを「食」にしたいと感じ始めました。生協・流通・総菜メーカーなどの販促企画に携わりますが、まだまだ家電や不動産等の仕事もしていました。
また、その頃、「暇なら情報発信をしてみたら」と夫からホームページを作る提案をされ「おいしい健康倶楽部」という伝統食をお手本に健康と環境を配慮した食生活「素食」の提案サイトを運営し、この頃から環境報告所などの制作の仕事もするようになり、「食・健康・環境」をテーマに仕事をしようと決めました。
そして出産し、子育てで仕事に時間を割けない分、「食」にこだわった仕事だけにしようと決心しました。とはいえ、この頃は関西の流通系の仕事しかありませんでした。
ガイド:
全く異分野というわけではなく、環境問題や健康・食文化に携わっていた という下地があり、さらにご主人の提案があって、テーマが絞られ、さらに出産で「食」にこだわる決心をされたのですね。そして、フードコーディネーターや食生活アドバイザーの資格を取得されたのも、その「食」にこだわった仕事をするためでしょうか?
南さん:
フリーランスのライターとしても自分の強みをアピールできるものが欲しかったということですね。私は「食」の分野に強く、そして「編集」の中の「ライティング」の部分だけでなく、トータルにコーディネートすることができる、ということをアピールしたかったのです。
資格を取得した直接のキッカケは、総菜メーカーにいた頃の友達に誘われたことです。新たに日本フードコーディネーター協会という団体の資格ができるから、一緒にとってみない?と誘われて。続けて食生活アドバイザーも受けてみることにしました。
仕事が増えるにつれ、食べ物と健康の関わりについて執筆することがおおく、一度きちんと体系的にカラダのメカニズムや健康に関することを知っておきたいと思いましたが、医学部に入学することはできませんので、いろいろと調べて日本成人病予防学会の「健康管理士 一般指導員」の資格を取りました。
ガイド:
それぞれ資格を取得するにあたって、どのように時間や費用を捻出されたのでしょうか?
南さん:
フードコーディネーターの資格は、今でこそ専門学校などで、フードコーディネーターコースなどが設置されていますが、私の場合、3級は第1回で、2級も設けられて第1回の受験でしたから、まだ学ぶ環境も充実していませんでした。教本を読んで自分なりに勉強しただけですが、合格することができました。ですから、教本代、協会主催の集中講座代、受験料といったところでしょうか。
健康管理士は、通信教育で、63,000円(消費税込)と受験料は5000円でした。40歳過ぎてからの勉強で、30代の頃とは違い、得意分野の栄養などは頭に入りやすいのですが、血液検査の項目と正常値、介護保険の内容などは、なかなか頭に入らず苦労しました。毎月課題の提出などもあり、けっこうきちんと読み込んで理解しないとできない内容なので、嫌でも勉強せざるを得ません。仕事と家事で中断するとなかなか集中できず、毎日夜家族が寝静まってから勉強しました。
ガイド:
学費や時間の捻出は結婚し家庭を持った女性には、なかなかまとまって捻出できないものですよね。資格を取得からはどのように仕事に生かすことが出来ましたか?
南さん:
関西は東京と比べるとメディアの仕事が少ないので、待っていても仕事はなかなかきません。営業的なセンスは私にはありませんが、自分のサイトを作り、「食・健康・環境」についての考え方や、提案をする中で、自分をアピールできました。
しだいに健康的な食生活に関する原稿執筆や、取材を受けたり、レシピ制作など、ライターやフードコーディネーターの仕事だけでなく、健康や環境に配慮した食生活について取材を受けたり、講演やラジオ、テレビ番組の依頼も来るようになりました。
また、資格を取得することで、いずれも協会に所属し、最新の情報を得たり、定期的にセミナーがあるなどブラッシュアップの機会があるということも大きなポイントでした。資格だけとっても安心はできません。どんどん学んで磨いていかなければ。またこうした団体に所属することで、横のつながりができます。フードコーディネーターでは、関西のコーディネーターのつながりもできるようになりました。
フードコーディネーターの職域は広く、調理関係、テーブルコーディネート、商品開発、流通、レストランプロデュース、メディア・編集など、専門分野に別れています。たわしはメディア部門になるのですが、レストランプロデュースの方や、流通、栄養士さんなどと知り合いになることで、情報交換することもできますし、協力し合えることもあります。こうした横のつながりを広げていくことも、仕事作りには大切ですね。
ガイド:
資格を持って活躍されている方は「横のつながり」を皆さん大切にされていますね。人脈がひろがる、という意味でもメリットはたくさんあるかと思いますが、とりわけメリットをあげるとしたら、どのようなことがありますか?また、デメリットはありますか?
南さん:
フリーランスの立場ですし、パソコンでインターネットにつなげられれば、仕事はメールのやり取りでできるようになりましたので、昔と比べると時間がうまく使えます。自分さえ夜中に頑張れば、子どもの学校行事や用事をこなすことができるのは、大きいですね。
デメリットとしては、フリーランスですから、一時期に仕事が集中した場合は、家事や育児にしわ寄せがいきますし、自分も体力的に厳しいこともあります。年齢も年齢ですし…(笑)また、正社員ではないので、福利厚生はなく、厳しいです。