打出しの中華鍋

 

「料理が趣味です…」という男性であれば、おそらく手元に中華鍋をお持ちだろう。


中華鍋には、両手・片手といった形状の違い、また鉄か、テフロン加工のものか、あるいは最近出てきたチタンか、などといった材質の違いがある。

そんな中でも、私がもう5年以上も使っているのが鉄製で片手の中華鍋、いわゆる“北京鍋”といわれるタイプで、直径は33cm。

この中華鍋は、かの有名な調理道具専門店街の合羽橋商店街(東京都台東区)で購入したもので、同じ鉄製といっても、山田工業所というメーカーによって“打出し”という手法で作られたものだ。


“打出し”の中華鍋とは…

市販の多くの中華鍋はプレスという手法によって製作されている。つまり中華鍋の形をしたプレス型を利用して一発押し出しで整形するのだ。

これに対して、“打出し”は、平らな鉄板を金槌状のもので数千回も“叩く”ことによって丸い形に整形していく手法。当然、一発整形のプレスに比べて、手間もかかるし大量生産には向かない。

しかし、特にプロの調理人をはじめ、この“打出し”の中華鍋をを愛用する人は多い。

打出しの中華鍋は叩くことで鍛え伸ばされるため、通常よりも薄く、そして軽量にできあがる。このため火にかけたときの熱まわりがよく、取りまわしもラクなため、特にプロに評価されるのだ。

また、鉄というものはもともと細かい隙間がある(スが入っている)もので、長く使うとサビや傷む原因になったりする。ところが“打出し”によって叩かれることで、鉄が隙間のない詰まった一枚板に近くなり、非常に丈夫で長持ちするという利点もある。
さらに、何千回も叩いたところが鍋肌に同心円状の跡を作り、これが逆に油なじみをよくするという効果を出すのだ。

写真を見て欲しい。光を透すと微妙に叩きあとが残っているのがわかるだろう。

 



このように、中華鍋として非常に利点の多い“打出し”なのだが、すでに述べたように非常に手間と技術が必要とされることから、今となっては、ある程度の規模での製品化を行っているのは山田工業所ぐらいのようだ。

なお、片手のタイプであれば、必ず取手の部分に「山印+打出し」という銘が刻まれている。 逆にいえばこの銘こそが“打出し”の証といえるだろう。


中華鍋の選び方は?

この山田工業所製、打出しの中華鍋には多くのタイプが揃っている。先に紹介した片手の北京鍋から、両手で浅いもの(いわゆる広東鍋)、深いもの、また中には木製の取手がついたものまである。
また、熱まわりよりも保熱性を重視して、あえて鉄板の厚さを厚くしたタイプのものまで揃えられている。当然サイズもさまざまある。

もちろん、用途や好みによって選べばよいのだが、一般家庭用でいろいろな用途に使えるものを、ということであれば、やはりスタンダードな片手北京鍋の直径30 ~35cm程度のものがおすすめだろう。

北京鍋は、比較的鍋底のカーブが深く、炒め物から煮物、蒸し物などと、ほとんど全ての調理法に対応できる。
また、コンロまわりや保管のスペースを考えると、片手のものが一番コンパクトに使えるのではないかと思う。
もちろんスペースを気にしないのであれば、好みで両手鍋を選んでも全く問題はない。

 

次はメンテナンスについて [ 次へ→ ]