満を持してベランダに出てみると…。
「おー!なんか色が変わってるー!」
そう、なんとなく肉が飴色になり、艶も出てきている。なんとなくすでに旨そうに思えるから不思議だ。
とるものもとりあえず、早速手作りスモーカーに火を入れるべく、スモークウッドに点火した。
確かに線香のようだ。「これで燻製ができるなんて簡単だなー」と感心しつつ、計画通りにスモーカーの中にスモークウッドをいれ、その上にヒッコリーのチップをかけてフタをした。
しばらく温度計を見ていると、次第に温度が上がってきて、40度Cほどを指すようになった。
「うん、このまま50度Cまで上がれば、そのまま2時間程度でよしとしよう」と、しばらく見ていたが、なぜかそれ以上に上がらないばかりか、今度は温度が下がってしまった。
「あれっ…」と、フタをあけてみると、自分で燃え続けるはずのスモークウッドの火が消えてしまっていた。
それから何度か、再点火してみるも、しばらくすると火が消えてしまう。
どうやら、スモーカーが密閉状態のために酸欠で火が消えてしまうらしい。しかし火が消えない程度にフタを開けると、今度は風が吹き込んで温度が上がらない。
やはり、ちゃんとしたスモーカーじゃないので、いろいろと不具合が発生する…。
「うーん」と考え込んだあげく、一斗缶ごと、ガスコンロにかけるという非常手段に出ることにした。
本来は電熱器で加熱するということなので、それほど問題はないのだろうが、室内なので煙くさくならないかが心配だ…。
今度はガス火にかけるので、スモーカーのそばを離れずに、温度を見ながら細かく火を調整することにした。
ここで、奮発した専用温度計がガゼン大切な役割りを果たす。
ガスコンロにかけると、見る見る温度が上昇し、煙が立ってくる。
一斗缶にきっちりフタをして、換気扇をガンガンにまわすと、心配していた煙もほとんど室内には出さずにすみそうだ。
温度が80度Cを超えると、火を止め、50度Cを下回りそうになると再び火にかけるというのを繰り返し、約2時間燻煙を続けた。
最後、火を止めてから粗熱が取れて煙が落ち着くまで30分ほど放置しておき、いよいよスモーカーをオープン!
「おー!スッゲー!」とつい声を上げてしまう。 そこには見事に飴色に色づいたベーコンがっ!
つやつやとした表面に、なつかしいような煙の匂いで、気分はベーコン100%(?)だ。
はやる気を抑えて、換気扇のそばに2時間ほどぶら下げておく。
燻煙後、数時間干しておくと燻製独特の酸味が和らぎ、味がよくなるとのことなのだ。
で、今度こそベーコンの完成だ!
早速はじっこをナイフで切り落として味見。「うーん、むむっ!」。市販のベーコンとは全く違う風味と食感!
この「燻され感」は、やはり手作りでないと味わえないはず。
少し濃い目の塩味と、燻製独特の香りがたまらなく旨い。 初めてでも結構簡単に、しかもこんなに旨くできるなんて…。
で、結局ベーコンエッグや、キャベツ炒め、スパゲティカルボナーラなどで、あっという間に全部なくなってしまった。
振り返ってみると、燻煙にかけるところが、やはりスモーカーやチップの準備、そして温度調節と、なかなか手軽に、とはいかないが、それ以外はあまり気を使うところなくベーコンが出来てしまった。
なんといっても市販のものとは全く違うホンモノの燻製ベーコンを味わうことができるのは、まさに手作りの醍醐味。
普段料理をしているヒトであれば、ほとんど失敗なく美味しいベーコンができることは間違いないと思う。
ただ、最初は市販の燻製キットなどを利用するのが手軽でいいだろう。紹介しているサイトなどでは、数千円でダンボール製のスモーカーとスモークチップがセットになったものなども通信販売で扱っているようだ。
もちろん、アウトドアショップなどでもこういったキットは簡単に手に入れることができる。
“燻製”は思ったよりも手軽な調理法だと思う。ぜひ一度挑戦してみてはいかがだろうか。
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