Blue Ocean Strategy By W. Chan Kim & Renee Mauborgne |
ブルー・オーシャン戦略で勝つ!
2004年に刊行され、全米で、話題を呼んだビジネス書、"Blue Ocean Strategy"が、邦訳されました。このブルー・オーシャン戦略、今の日本のビジネスにまさに当てはまる事例に満ちています。新しい、ビジネス戦略を、是非、英文でも堪能してください。今回は、本書で取り上げられている、注目すべき、2つの「ブルー・オーシャン戦略」を取り上げてみます。
ブルー・オーシャンとレッド・オーシャン
ブルー・オーシャン戦略とは、文字通り、青く澄んだ海のことを指しています。企業が、日夜、熾烈な競争で、文字通り「血で血を洗う」戦いを繰り広げる、レッド・オーシャンの例えと対照を成すものです。縮小していく、市場のパイを価格競争と、品質向上によりしのぎを削るレッド・オーシャン(またの名をRed Bloody Ocean)から出て、一人競争相手のいない、新しい「青い海」ブルー・オーシャンを目指すべきという戦略指南が、本書の主旨です。この戦略により、競争を無意味なものにするというものです。その一つの例として、日本の企業ドコモが取り上げられています。
ブルー・オーシャン戦略のかなめは、「価値革新」"Value Innovation"にあります。従来の価値を見直し、顧客の価値を新たに創造していくことで、従来の企業戦略の「価値とコストはトレードオフの関係にある」という固定概念を崩すことに成功しているのです。
ドコモの場合、iモードの戦略が、まさに「ブルー・オーシャン戦略」の典型であると述べられています。しかも、技術革新も含めた成功例として取り上げられています。インターネットの「価値」"Value"を、「電子メール」「身近なニュース」と「娯楽・ゲーム」と位置づけ、その価値を携帯というモバイルできるツールでしか、実現できないキラー・コンテンツとして強めることによって、成功を収めたと記しています。他のヨーロッパ勢もブルー・オーシャンの創出に努めましたが、視点が違っており、成功しませんでした。
ドコモのブルー・オーシャン戦略
本書では、ドコモは、大きな技術革新を経ずにと強調していましたが、実際には、その技術面もドコモの成功のキーポイントであったといえます。ここから、見えてくるのは、従来のレッド・オーシャンである、既に成功した分野に後発参入してしのぎを削るビジネスから、新しい産業分野を切り拓く努力をし、ブルー・オーシャンを切り拓いた企業が、これからは、生き残っていくという未来の図式を読み取ることができます。既存の分野での「価値の革新」が、奏功するならば、さらに最先端の技術を持った、産業分野の創設は、尚有望であることは、本書から容易に推察することができるはずです。その点で、日本は、科学技術においては、現在世界の最先端を走っています。核融合実験施設の誘致では、自ら敗北の道を選んでしまいましたが、現在核融合の分野では本来日本の技術なしでは、成り立たないという現状があるのですが。この核融合と等しく重要なポジションを占めている日本の技術は、実は、余り知られていませんが、枚挙に暇がないほどなのです。(実は日本こそこれからの最有望市場なのです。)このアドヴァンテージを最大限に生かす戦略の建て直しが急務であるといえます。その点で、本書は、多くの示唆に富んでいるといえるでしょう。
日本が本気で国内最先端技術の融合と統合を国を挙げて行えば、日本単独で、大きな新産業の創出と価値革新のみならず、産業革命に等しい技術革新を発信することが可能であるとも言われています。壮大なブルー・オーシャンが潜在的に眠っているといえます。
次に公共事業でのブルー・オーシャン戦略を見て見ましょう!⇒