日本語の語呂合わせ
英語にも語呂合わせがある
数学で平方根を覚えるときに、
ルート2=「一夜一夜に人見頃」(1.41421356)
ルート3=「人並みにおごれや」(1.7320508)
ルート5=「富士山麓オーム鳴く」(2.2360679)
と語呂合わせで覚えた方も多いでしょう。電話番号や郵便番号を同じような語呂合わせで覚えることも多いはず。
では英語ではこうした語呂合わせはあるのでしょうか。以前メールマガジンでこの話題を取り上げました。今回はそれをさらに詳しく掘り下げてみましょう。
<目次>
英語の語呂合わせ
さて英語では、日本語のように数字1つ1つに何かのアルファベットや単語を割り当てるということはしません。その代わり、各単語の文字数を数字に 対応させるのです。たとえばI bought a ticket for you.
の場合、それぞれの単語の文字数は、I=1, bought=6, a=1, ticket=6, for=3, you=3なので、結局この文章は 161633 という数字を表すことになります。
またこの逆の操作を行えば、数字を何らかの文章で表すことができます。これが英語流語呂合わせです。
円周率を語呂合わせで覚える
覚えにくい数字の代表として、円周率があります。日本語でもいくつかの語呂合わせがあり、たとえば「身一つ世一つ生くに無意味いわくなく身ふみや読む似ろよさんざん闇に泣く」
や
「産医師異国に向こう産後薬なく産婦みやしろに虫さんざん闇に鳴く」
が知られていますが、いずれも3.141592653589793238462643383279(31桁)を表しています。
さてこの円周率を英語で語呂合わせしたらどうなるのでしょう?
円周率を英語で覚える
円周率・英語での語呂合わせだとこうなる
先ほどのルールに従って、円周率をできるところまで英文で表現したものが、次の文章です。
Yes, I know a number (私は数を知っている)
Can I find a trick recalling pi easily(パイを簡単に思い出せるトリックはありますか)
How I wish I could calculate pi! (どれほどパイを計算したいことか!)
1つめの文章は最後の数字を四捨五入してありますが、いずれの文章も単語の文字数が確かに円周率を表しています。
これらの文章はどれも、文の内容が円周率に関係したものになっている点がすぐれています。こういう語呂合わせはなかなか 考えつくものではありません。
円周率を表す極めつけの英語語呂合わせ
最後に極めつけ、ながーい語呂合わせとして有名なものをいくつか紹介しましょう。May I tell a story purposing to render clear the ratio circular perimeter breadth, revealing one of the problems most famous in modern days, and the greatest man of science anciently known?
(円周と円の幅(直径)の比を明らかにする話をさせてください。この話により、現在もっとも有名な問題の1つが明らかになり、また、古代に知られたもっとも偉大な科学者も浮き彫りになります。)
出典:C. J. Jackson, Mathematical Gazette, vol. 4 (July 1907), page 103
May I have a month, professor, To figure these, you brain assessor? Calculate, student, calculate now! As the figuring gets longer, My friend, hope you get stronger And no figures, incorrect, allow.
(お言葉ですが、教授。あなたは、これを理解するための頭脳鑑定人になったのですか?計算しなさい、生徒よ、今すぐ計算するのだ!なあ君たち、理解に時間がかかるほど、私は君たちに強くなってもらいたいのだ。不正確な数字は許さないぞ。)
出典:Aaron L. Buchman, School Science and Mathematics, vol. 53 (February 1953), page 106.
どちらも
3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 5
を表した文章です。暇な方は、文字数と円周率を照らし合わせてみてくださいね。
数字以外にもじつは英語の語呂合わせがあります。
数字以外の英語語呂合わせ
周期律表・英語での語呂合わせ
化学の時間に周期律表を暗記させられた経験はありませんか?ここにも語呂合わせがよく使われています。たとえば日本語では最初の10元素(H, He, Li, Be, B, C, N, O, F, Ne)を
水兵リーベ僕の船
などと語呂合わせで覚えることがありますね。
この周期律表にも英語の語呂合わせがあります。今度は数字ではないので、単語の文字数を使って語呂合わせを作ることはできません。
そこでどうやるかというと、これは比較的日本語の語呂合わせに近いのですが、各単語の先頭の文字(あるいは最初の2文字)が元素記号と一致するように文章を作るのです。
たとえば
His heels like better business. Cause Nothing of Fun Never Napping Makes Al's Sillies Put Sugar Clear Around Kansas Cats
(彼のかかとはもっといい仕事が好きなんだ。なぜかといえば、昼寝をしないなんてつまらないことが原因で、アルの愚かさから、カンサスの猫のまわりから砂糖を片付けてしまったのさ。)
文章としては意味づけがかなり苦しい内容になっていますが、これがあればどうにか周期律表をCa(カルシウム)まで覚えることができます。
なお、「語呂合わせ」という意味の英語はありませんが、ご紹介した覚え方は、記憶法、記憶術という意味で mnemonics と呼ばれることがあります。独自の mnemonics を編み出すのも面白いかもしれませんね。
【関連記事】