資格・検定/資格アーカイブ

人気資格「初級シスアド」廃止!?(2ページ目)

「情報処理技術者試験」の制度変更により、人気資格である「初級シスアド」が将来的に廃止されなくなる可能性が出てきました。今回は、このトピックに関して現時点でわかっている情報を速報でお届けしましょう。

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

今回の試験制度変更の目的は?

目指すべき高度IT人材類型に即したキャリアと、求められるスキルを示した共通キャリア・スキルフレームワークの下で客観的な人材評価メカニズムを構築することが目的。
そのため今回の変更では、ITスキル標準(ITSS)、組込みスキル標準(ETSS)、情報システムユーザースキル標準(UISS)との整合化を図り、これらのフレームワークで利用しているレベル判定の尺度を、情報処理技術者試験にも適用できるようにします。


現行試験からの変更ポイントは何?

現行の試験区分は、大きく分けて、いわゆるエンジニアなどのシステム開発側と、エンドユーザーなどの利用者側という2つのカテゴリから構成されていますが、新試験ではこの区別がなくなり、いわばこの両者のITスキルが、共通の「ものさし」で測られることになります。
また前述のとおり、試験を他のフレームワークに対応させた「レベル別」とするのも、新しい試みです。


どうして「初級シスアド」がなくなるの?

新試験で新たに導入される予定なのが、CBT形式で実施される「エントリ試験(ITパスポート試験)」。
これは開発者側、エンドユーザー側問わず、ビジネスパーソンとして誰もが身につけるべき基礎的知識を想定した試験で、レベルとしては最も初級。実は「案」では、現行の「初級シスアド」は、ここに吸収されるというのです。
もちろん「エントリ試験=初級シスアド」ではなく、あくまでも部分的に重なる部分があるということ。そのため、現行の「初級シスアド」は、事実上「廃止」ということになります。


新試験の試験区分はどうなるの?

順番にレベルが上がっていく形で、先の「エントリ試験」、「基本情報技術者試験」(現行の「基本情報技術者試験」「ソフトウェア開発技術者試験」に対応)、「応用情報技術者試験」、更に上位の試験として、現在の11区分を9区分に再編した試験が想定されています。ちなみに、「基本情報技術者試験」にも、現行の「初級シスアド」の試験内容が一部吸収される予定。
また、この上位試験での目立った変更点として、「ITストラテジスト試験(仮称)」(現行の「システムアナリスト試験」と「上級システムアドミニストレータ試験」を統合)、「情報セキュリティプロフェッショナル試験(仮称)」(「テクニカルエンジニア試験(情報セキュリティ)」と「情報セキュリティアドミニストレータ試験」を統合)の創設が挙げられます。


新試験はいつからスタートするの?

前述のとおり、パブリックコメントを受けての最終報告が11月。実際の新試験は、来年(2008年)秋の「エントリ試験」からスタートし(ただし、CBTではなくペーパー方式を予定)、「初級シスアド」はこれに伴って廃止となります。
なお2008年度中は、その他の試験は現行の試験制度で実施され、全面的な移行は2009年春からになりそうです。


試験制度変更・今後の影響は?

従来試験で資格を取得した人にとって、試験制度の変更で気になる点はこれでしょう。
率直に行って、通常新たな資格制度が認知・定着されるまでには、それなりの時間を必要とします。特に、元来「エンドユーザー向け」として位置づけられている「初級シスアド」の資格がモノを言う求人は、IT業界の最先端
というよりも、その周辺と予想されるので、新試験が導入されたからといって、すぐに反応し、「初級シスアド」に取って変わる評価基準となるとは考えられません。そのため最初の内は、馴染み深い従来試験制度での資格でも、十分にアピール力を保てると予想できます。
しかし、もともと日々進化を続けているIT分野の資格ですから、資格取得においても、常に「ブラッシュアップ」への意識をアピールする必要があることは間違いありません。
したがって、直接的なアピールには従来の資格を活かし、プラス新試験制度での資格を取ることで、客観的なスキル証明と共に、たゆまぬ向上心を印象づけることはできると思われます。




さて、今回の「案」どおりに新試験制度が導入されるとして、現行の「初級シスアド」は、まだ10月と来年4月には試験が実施されます。おそらく、願書提出済みも含め、これを受検するつもりで準備を進めている方もいらっしゃるでしょう。そこへ湧いて出た今回の廃止計画。「いずれペーパー資格になってしまうなら、いっそのこと受けるのをやめようか…」そんなふうに考える方も少なくないでしょう。
しかし上でも述べたように、現行資格は元々それなりの認知度、評価を受けている資格でもあります。新試験制度の影響がいずれ出るにしても、「すぐに」とは考えづらいことを考慮するならば、かえって、この最後の受検チャンスを逃さず、これを取得しておく、ということもそれなりに意味があることかもしれません。



本記事中、新試験制度についての情報はこちらを参考にしています。引き続き、今後の動きも追っていきます。
情報処理技術者試験センター:「情報処理技術者試験新試験制度の手引(案)」の公表及びご意見の募集について
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます