肉体的な死よりも悲しい、精神的な死
運命的な出会いをした2人は、「記憶」を失うことよって引き裂かれてしまう ©2004 CJ Entertainment Inc. & Sidus Pictures Corporation. All rights reserved. |
お涙頂戴の映画ではなく、観客の心に涙の落ちる音が響くような映画が作りたかった。その涙の音が、私たちの日常生活の一秒一秒を大切に楽しく生きる糧になってくれれば嬉しい。観客を泣かせるために誰かを殺すような考え方は嫌いです。忘れ去られていく悲しみは、死そのものよりも悲しいだろうと思い、記憶の喪失をテーマに遣いました。
『私の頭の中の消しゴム』は、単に「悲しい」のではなく、大切な人や、自分をとりまく環境、そして一瞬一瞬を大切に生きよう、そんなことを考えさせられる映画といえましょう。なんだかしんみりしてきてしまいましたが、ここでは今を大切に生きようとする皆さんに、この映画の中でも深く印象に残るフレーズご紹介したいと思います。
「これを飲んだら俺たちは恋人だ」
新婚生活は幸せの絶頂だった ©2004 CJ Entertainment Inc. & Sidus Pictures Corporation. All rights reserved. |
「イゴ(これ) マシミョン(飲んだら) ウリ(俺たち) サギヌンゴダ(付き合うんだ)」
無愛想で、その後も「愛してる」のひとことが言えない、チョルスの必死の愛の告白だったんですね。もちろん、スジンはその一杯を飲み干しました。そして熱いキスを交わすのです。
「私の頭の中に消しゴムがあるって」
自分が自分でなくなっていく……。悲しみに打ちひしがれるスジン ©2004 CJ Entertainment Inc. & Sidus Pictures Corporation. All rights reserved. |
「ネ(私の) モリソゲ(頭の中に) チウゲガ(消しゴムが) イッテ(あるって)」
なんとも悲しい名台詞ですね。忘れられてしまう方と、忘れてしまう方、どちらが辛いんでしょう。新婚で、幸せの絶頂だった2人にあまりにも残酷な運命です。
「俺が覚えていてあげる」
チョルスは何が何でもスジンのそばにいようとする ©2004 CJ Entertainment Inc. & Sidus Pictures Corporation. All rights reserved. |
「ネガ(俺が) キオッケ(覚えていて) ジュルケ(あげる)」
いままでのことをすべて君が忘れてしまっても、俺が覚えていてあげるから。チョルスの精一杯の思いを感じ取ることができるでしょうか。「ネガ キオッケ ジュルケ」。 実は、この中に日本語と同じ発音の言葉が入っています。それは「기억(キオク)」。 そう、「記憶」ですね。 「기억하다(キオッカダ)」で、「記憶する、覚えている」という意味になります。
例えば一度だけ会った人とまた会ったとき、「私のこと覚えてますか?」と聞きたいですよね。そんなときは、「チョルル(私を) キオッカセヨ(覚えてますか)?(저를 기억하세요?)」となります。
いかがでしたでしょうか、『私の頭の中の消しゴム』。大切な人が、自分のことを知っていてくれる、自分も家族や、大切な人との思い出を胸に閉まっておける。そして、いつでも引き出しを開けては眺めることができる。それがどんなに幸せなことかが分かります。大切な人の手のぬくもりが恋しくなる、そしていつまでも離したくない、そんなことを思わせる映画です。胸に響く韓国語の台詞をぜひ味わってみてください。
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