中国の干支、亥(イノシシ)年

中国の干支、亥について

中国の干支、亥について

干支は中国から日本に伝わってきた習慣ですので、亥年にちなんでルーツである中国の習慣や言葉についてご紹介しましょう。

干支についての基礎知識と、「あなたはなにどし生まれですか?」の中国語表現についてはこちらをどうぞ!
   

亥年の「亥」とは……?

十二支の十二番目。
時刻では午後十一時(その前後2時間が亥の刻)
方角は北北西。


十二支には12の動物があてはめられ、日本でも暦の上だけでなく時刻や方角にも使われていました。
なぜこの動物が選ばれたの?なぜ亥が北北西なの?という疑問が当然湧いてくるところです。
この点についてはいろんな伝説や物語、昔話があるのですが、夢のない言い方をしてしまうと、動物になぞらえると誰もが(小さな子供でも)覚えられて便利だったから…というのも大きな理由のようです。

そのように十二支に便宜的に動物をあてはめたため、過去記事でご紹介したように【酉】【戌】の字義本来の意味には、直接的に動物につながる意味はありませんでした。それでは「亥」はどうでしょうか?

「亥」は象形文字で、イノシシ・豚の骨格を描いたものが元になっていますが、イノシシそのものの意味はありません。
「骨格」「骨組み」というのがもともとの意味です。【核】【骸】などの文字に「亥」の文字が入っていることからうかがえます。
 

中国語の「猪」はイノシシではない!

中国がルーツの十二支は、登場する動物においても日中まったく同じ漢字を使います。日本も中国も「亥年」の動物は「猪」です。
同じ「猪」なのですが、日本人と中国人が思い浮かべる動物は違います。
中国語の【猪】は、イノシシではなく「豚」なのです。

イノシシを中国語で言う場合は【野猪】[ye3zhu1]となります。

中国では、正月は1日から7日までにそれぞれ動物をあてはめ、あてはめられた動物の絵を飾ったり、その動物を殺さないようにするという習慣があったと中国の古い文献に記録があります。3日は猪の日ですが、その日は豚を食べない、また、3日に晴れるとその年は豚がよく育つとされています。

※:1日は鶏(とり)、2日は狗(いぬ)、3日は猪(ぶた)、4日は羊、5日は牛、6日は馬、7日は人(刑罰などを行わないという意味)です。

もともと、猪と豚は生物学的に大きな違いはなく、豚は野生の猪を飼いならして家畜化させた生き物だと言われています。
日本に十二支が伝わった時は、猪と豚の区別はあまりなかったのでしょう。そして古い時代の日本では肉食が一般的ではなかったため、豚を家畜として育てる習慣がなく、猪はイノシシのまま定着したのではないでしょうか。
一方中国では、古い時代から豚を家畜として育てていたため、早くからイノシシと豚の区別があったのではないかと推測できます。
 

富の象徴・福の象徴

ウリ坊とイノシシ君がおこたでのんびり
イノシシのワイルドさを抜いたのが豚…と思えば納得ですね。画像:From年賀状わんパグ
まるまると太り、よく食べる豚は、中国では富の象徴とされています。
最近でこそ、若い女性が美容を意識してダイエットに励むようになりましたが、もともと中国では「太ること=生活が豊かなこと」であり、「お太りになられましたね」がほめ言葉だったのです。

また、豚のどことなくのほほんとした表情も、浮世の悩みから解放された幸せを連想させ、福の象徴とされました。

春節に飾られる縁起物の絵にも、豚がモチーフになっているものがよくあります。まるまると太った豚が、背中に大きな鉢を背負って走ってくる絵を、中華グッズのお店や中華料理のお店で見たことはないでしょうか?
背中の鉢は、いわゆる打ち出の小槌のように宝物をどんどん出してくれるのです。この豚の絵をドアの両側に貼ると、新しい年に金運を運んでくれると言われています。
 

「福耳」のルーツは、豚の大きな耳

日本でもおなじみの「福耳」のルーツは、実はここから来ています。
富の象徴・福の象徴ということから派生して、豚のように大きく垂れ下がった耳を持つ人は「福耳」の持ち主として羨望の的になりました。
【大耳有福】[da4er3you3fu2]=大きな耳には福がある 

また、三国志でよく知られている劉備は「福耳」の持ち主だったと言われています。そこから、「福耳」は「帝王の耳」とまで言われるようになりました。
 

子宝の象徴・雨の神様

他にも、豚は一度に十数匹の子供を産むことから、子宝の象徴とされています。また、「雨を予知する力がある」という言い伝えもあり、雨の神様とも言われています。

こうして見ていくと、中国において豚は、人間が欲しいもの、必要としているもの(水・子宝・お金…)をもたらしてくれる存在として古くから親しまれてきたことがわかります。

我々日本人にとっては、「亥年」が「豚」の年…というのは不思議な気持ちがしますが、ルーツを知ってみれば二重に楽しめる気がしますね。


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