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日本から来た我々にとっては、その風景だけをとれば見慣れた和風の庭園です。特にモネの作品を知らぬまま見た人にとっては感動は薄いかもしれません。ところが、あの同じ風景を描いたにもかかわらず、微妙な変化を見せるモネの作品群を充分見た者の目にとっては、その印象は大きく異なります。
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体は年々不自由になり、落ちて行く視力に悩まされ続けた晩年のモネにとって、庭に出れば必ず新たな印象と感動を与えてくれた理想のモチーフ、もしこの地に長く滞在することが出来るなら、春の新緑に映えるやわらかい光や夏の強い光と濃い緑、秋の紅葉と低い位置から差し込む光など、四季によって移り変わるモネの世界にどっぷりと浸ることが出来るに違いありません。
ゆっくりとモネを堪能したいのは山々ですが、ここは超のつく人気観光地とあって世界中からの観光客が押しかけ、ジャパンブリッジも人の山、おちおち睡蓮を楽しむことが出来ない場合もしばしばです。特に春から初夏にかけては大変です。睡蓮の季節は7月末から8月一杯、もし睡蓮の花咲く池をどうしてもご覧になりたければ入場者の落ち着く8月後半が良いでしょう。10月なら睡蓮の花は無いものの、ゆっくりと紅葉に色づいた木々の映える、黄金色に輝く秋の池を楽しめます。モネの庭を本当に味わうにはこれらシーズン外れも良いかもしれませんね。