ひったくりに遭う!
旅行先でショッピングをしながらボンヤリと通りを歩いているとき、アッと思ったときには自分のバッグが肩から奪われ、二人乗りのバイクが猛スピードで走り去って行きます。「あ、ああ~~~」と追いかけようとしてもすでにバイクは遠くに。。あなたは自分が車道側にバッグを持ち、時差ボケのする頭で目的もなく歩いていたことを後悔しても遅く、警察になんとか駆け込んだものの、言葉が十分に通じません。そうこうしているうちに時間が過ぎ、盗まれたクレジットカードで高額な買い物がされ(盗難届けを出せば補償はされるものの)、パスポートは闇で高値で売られることになるでしょう。携帯電話も奪われて、連絡するまでにかなり利用されてしまっています。現金はもちろん戻ってくることはありません。
なんとか日本領事館や旅行代理店の人たちに助けてもらいながら、パスポートを再発行してもらい、その他の事務処理を済ませて帰国するものの、楽しいはずの海外旅行は台無しになりました。誰に話しても、そのときの恐怖は理解してもらえず、「命だけはあってよかった」と、言われる始末。(どうせあなたの不注意が招いたのでしょう)と思われているようで、自分を責めても、お金も、楽しかったはずの時間ももう戻っては来ないのです。
ニセ警官に遭う!
その警察官は本物? |
警察官は財布を開けて、紙幣を全部取り出して1枚1枚もっともらしく透かすなどしてから、「これは偽札だから預かる」といったようなことを言っているようです。「そんなはずはない!」と言いたいのですが、言葉が出てきません。警察官はそのまま足早に遠ざかってしまいました。呆然としていると、また警察官がやってきました。一生懸命、身振りを交えて説明したものの、「その警察官が本物だったか」と言われて、ただ「だって制服を着ていたから」とつぶやくように言います。
その警察官は身分証明書を出して見せて、「きっとそいつはニセ警官だ」と言っているようです。警察署に行き、被害届を出すことにしましたが、制服を着ている人は皆同じように見える上、パニックになっていたので、人相がどうだったか、髪型や身長や体格を問われても、何一つまともに答えられません。ただ分かったことは、取られたお金は絶対に戻っては来ないだろう、ということだけでした。パスポートやクレジットカードも盗まれるケースがあると聞いて、まだマシだったのだと思うことにしたものの、悔しくてたまりません。
これらの事例は海外で日本人が被害に遭う事例のごく一部です。そして、どこの国ででも、誰の身にも起きるかもしれないのです。こうした事例を知っておくだけで、万が一、似たようなシチュエーションに陥ったとき、(あ、これは危険な状況だ)と、気づくことができます。危険と察知すればそれ以上の危険を防ぐことが可能になります。つまり、事例を知っているかいないかで、被害に遭う確率が大きく違ってくるのです。「知識」があれば被害を防ぐことに役立ちます。
ほかにも国や地域によって日本人旅行者が被害に遭っている事例は多々あります。少なくとも、自分がこれから行こうとしている国の事例だけでも知っておきましょう。自分から積極的に情報をチェックすることです。自分の身は自分で守るということは、情報収集から始まるのです。海外自己防衛のポイントを知っておくことで、被害を防ぐことができるようになります。つまり、「知恵」を持っておくことです。「知識」と「知恵」で身を守るのが「知的護身術」なのです。
次ページで海外自己防衛のポイントをチェック! そして、もっと危ない事例、女性の強姦被害についても知っておきましょう。