泥棒はどこから?
詐欺師は嘘つき 嘘つきは詐欺師? |
このことわざの本当の意味は、「嘘をついていると悪いという意識がなくなり、そのうち盗みも悪いことだと思わなくなるから、決して嘘をついてはならない」といういましめの言葉です。とはいえ、誰しも日常的にちょっとした嘘はついてしまうものかもしれません。
同じように、「盗みの元は嘘より起こり、嘘の始めは身持ちから」ということわざは、盗みを働くのは、平然と嘘をつけるほど良心がなくなった結果であり、その嘘は身持ちの悪さを隠そうとすることから始まるということ。身持ち(行い、品行)が悪いとそのうち、盗みをするまでに堕落してしまうということです。
英語にも同様のことわざがあります。
「Show me a liar, and I will show you a thief. 」
~一人の嘘つきを見せてくれたら、私は彼が泥棒であることを明らかにしよう。~どこの世界でも、嘘つきは泥棒なんですね。
嘘をつくのがうまい人が、即、泥棒になるというわけではありませんが、「詐欺師」などというものは、嘘でお金を引き出すことをなりわいとしていますから、一種の才能なのかもしれません。万引きをした人が、初めてではないのに、捕まったときには「初めてなんです。許してください」というのは常套句ですね。嘘がしっかり身についているわけです。
しかし、「泥棒せぬは氏神ばかり」「盗人せぬは氏神ばかり」ということわざもあります。これは、神様だけは絶対に盗みを働かないが、人間だったら誰しも多少は盗み心を持っているものだということ。それほど、人は盗みをしやすいものなのでしょう。もちろんだからといって泥棒は許されることではありません。
泥棒は見た目じゃ分からない?
「盗人と智者の相は同じ」ということわざは、泥棒も徳を積んだ僧も人相からは区別がつかず、顔つきだけで悪人であるか善人であるかどうかを決めるわけにはいかない、というわけです。見た目で泥棒と分かるくらいなら、みな警戒するものですが、見た目で分かるものではありません。泥棒といえば、頬かむりをして口の周りに丸く髭があり、唐草模様の風呂敷を背負って、といったような昔の泥棒のイメージというのは、今の時代にはまったくそぐわないものです。
たとえば、いわゆる振り込め詐欺の「おれおれ詐欺」で警察官を名乗ったり、宅配業者を装った強盗だったり、セールスマンのような格好をした空き巣狙いだったりすることからも、他人の目を欺くのが泥棒だといえますから、「人を見たら泥棒と思え」ということわざも生きてくるわけです。他人はとかく信用できないものだから、まずは疑ってかかれ、ということです。