衝撃音が気になる
建物によって騒音も違う |
たとえば、今こちらで流しているサーッという音は気にならないものなんです。ところが、(ペン立てからハサミを取り出してテーブルを軽くコツンコツンと叩いて)こういう音というのは人間が、いや動物が一番イヤな音「衝撃音」です。
たとえば、カラスを追いやるために銃の音とか花火の音とか出しますよね。動物が嫌う音なんです。で、こういう音は騒音計で測っても出てきません。瞬間的な音ですから。騒音計というのはある時間の音を取り込んで、積分してその値を出すんですね。ある時間の幅の中でした音を測るので、瞬間的な衝撃音は平均されて数字には出てこなくなるんです。
――電車の中などでも音楽を聴いてリズムを取りながら、指でタッタッタと硬いところを叩く人がいるんですが、あれはものすごくイライラします。そういうことなんですね。下手するとそういう音で殺人事件をも招きかねないですよね。
そうですね。たとえば、電車が通る音は、車輪とレールの衝突音の連続ですから、あまりいい音じゃないですよね。
音に慣れる
――日本の住宅事情では、電車の通るすぐそばに住んでいる人がけっこう多くて、そういう人たちに聞くと意外と気にならないと言うのですが。それは「慣れ」ですよ。もし自宅の階上からあれと同じ音がしたら大変ですよ。電車だからというあきらめでしょう。「踏み切り」もそうです。あの「カンカンカン」という衝撃音も本当はとてもイヤな音ですが、あきらめて慣れるんです。
――電車だと時刻表があって、わりと時間通りに運行されるので、予測ができるというか心構えができるということでしょうか。
こちらの研究員の自宅が以前は大型トラックのよく通る、しかもカーブでエンジンを吹かす場所のすぐそばに住んでいたんですが、そういう音は全然気にならないで寝ていたんです。ですが、庭の落ち葉の上を彼の祖母が歩いただけで、ハッと目が覚めたということがありました。音のレベルは全然違うのにです。音の認識をしているということです。
――へぇ~。では、寝ていても潜在意識の中で音を聞き分けているということ…
たとえば私の家では、誰か人が玄関のところに来ればカランコロンと音がするんです。ところが朝の新聞配達の人が来ますよね。これは全然気にならないんです。音源の正体がわかっているということでしょうね。おそらく起きるのでしょうが、あ、新聞配達だと分かって寝てしまう。で覚えていないということでしょう。
――なるほど。とても興味深いお話です。今日は色々とお話を伺ってきましたが、住宅の防音対策をしようとしたときに業者さんに依頼する際、こちらの日本音響研究所さんのホームページでもリンクされていますが、何か探すコツというのはありますでしょうか?