防犯/防犯小説

【連載第2回】かかってくる電話も色々ですが… テレクラの甘い罠~女からの誘い(3ページ目)

テレクラで受けた電話の数々。最後に受けた電話の相手は、若い感じのいい女性だった。これから会えそうな雰囲気の会話に、その気になってしまうのは男のサガか…

佐伯 幸子

佐伯 幸子

防犯 ガイド

安全生活アドバイザー。「頭を使って身を守る方法~知的護身術」を提唱。日常的な危機管理のスペシャリストとして、子どもや女性の安全対策を中心に、暮らしの中のあらゆる場面での危険を指摘、排除する方法を分かりやすく解説します。

まともな電話

「もしもし?」

「あ、今晩は」
(お、わりとかわいい声だな)

「今晩は。ふふ。サラリーマンの方ですか?」

「そうだけど、よくわかるねー」

「あ、だってなんか声の感じが、サラリーマンぽかったから」

「まいったな。キミはお勤めしているの?」
(こういう普通の会話がいいんだよな)

「うぅん。家事手伝い」

「へぇ。いいねぇ」
(ということは未婚だな。お年頃ってか)

「まぁ、短大を出て花嫁修業中といえば聞こえはいいんですが」

「それで、こんな所に電話なんかしていていいの?」
(ハタチちょっとか。なんか普通の子って感じだな。)

「うーん、なんだか今日はちょっと寂しくて…」

「そうか。じゃ、僕と一緒だね」
(寂しいってのは、いいセリフだよな。なんか気を引くっていうか)

「それで、誰かと話したくなって」

「なるほど。僕でよければ相手になるけど」
(この子なら話してもいいし)

「いいんですか?」

「もちろんいいよ。何を話そうか」
(いいんですか、なんて遠慮がちだな。ちゃんとした子みたいだ)

「あのー、私、結婚している人がいいんですけど」

「え、なんで?」
(ほう。そういう好みなのかね)

「だって、落ち着いていて信頼できそうだし、安心だから」

「独身じゃダメなの? それともファザコン?」

「うーん。だって、独身だとなんか危ない感じで。ファザコンもあるかも。いろいろな意味で結婚している人のほうがいいかなーって」

「そうか。じゃ、僕はちょうどいいね」

「あ、結婚してらっしゃるんですか」

「うん。子どもはまだいないけどね」
(それでもこっちの年齢を聞かないってのがいいよなー)

「よかったー。あぁ、でもそれじゃ今日はお家に帰るんですよね…?」

「どうして? 帰っちゃマズイの?」
(おいおい、そんな残念そうな声を出さないでよ)

「だって、私、今日、とっても寂しいの」



→誘いの会話

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