防犯/子どもを犯罪から守る

火をつける子どもたちの「なぜ?」 連続放火!犯人は子ども!?

火の気のない場所から火災発生!身柄を拘束されたのは12歳児童でした。他にも、先頃、中学生が放火未遂で捕まっています。子どもたちがなぜ、重大な犯罪を引き起こしたのでしょうか?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

小学生男子児童が!


埼玉県三郷市で、小学校6年生の男児(12歳)が拾った使い捨てライターで無職女性方の物置に火をつけて、物置と乗用車などを全焼させました。さらに、約1時間後、約30メートル離れたアパートの外壁にも火をつけて焦がした疑いで埼玉県警吉川署は24日「非現住建造物等放火」「現住建造物等放火」の疑いでこの児童を補導しました。

調べに対して、男児は「火の燃えるパチパチという音を聞くのが面白かった」と供述しているといいます。周辺では4件の不審火が相次いで起きており、同署は関連を調べています。 

中学2年生男子生徒が!

山口県警岩国署は23日、岩国市内の中学2年男子(14歳)を「非現住建造物等放火」未遂などの容疑で逮捕しました。調べでは、この生徒は22日午後6時半ごろ、通学する市内の中学校の正面玄関扉のガラスを割って侵入し、1階中央階段の上がり口付近に灯油をまいて、料理用ガスバーナーで火をつけた疑いです。

フロアや天井の一部が焼け、灯油のすすで廊下の天井が真っ黒になりましたが、延焼はありませんでした。この生徒は2学期から不登校になっていましたが、今月18~20日の修学旅行には参加しており、「(修学旅行のバスの中で)持参したビデオが上映してもらえず、不満だった」(ビデオは暴力シーンの多い映画「バトルロワイヤル」シリーズ)と動機を話しているということです。この生徒は放火を打ち明けた父親(54)に付き添われて同署に出頭しました。


越えてはいけない一線…

「放火」…建造物などだけでなく、人命にも被害を及ぼす重大犯罪です。それがわずか12歳と14歳の小学生と中学生によって引き起こされたということが問題です。もちろん、おとなによる放火も許し難いものですが、子どもが放火するという背景にはどんな理由があったのかと疑問に思わずにはいられません。

埼玉県のケースでは「火の燃えるパチパチという音を聞くのが面白かった」、山口県のケースでは「自分のビデオが流されなかったから」という動機ですが、「火をつける」ことの結果について考えが及ばなかったのでしょうか。だからこそ「子ども」だとも言えますし、してはいけないことをわかっていなかったのか、わかっていてもしてしまったのはなぜか。越えてはいけない一線を越える引き金はなんだったのでしょう。

今後、心理状態など様々な取り調べが行われるでしょうが、自分の周囲のこうした子どもたち、我が子でも、近所の子でも、こうした行動に走らないように大人にできることがあるとすれば、やはり「会話」であり、いろいろと教え諭すことではないでしょうか。世代間の断絶や会話不足が問われている昨今、基本はやはり理解してあげること、そして人間としてしてはいけないことをしっかりと伝えていくことだと思います。


法律ワンポイントチェック

刑法第九章 
第108条(現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船若しくは鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

第109条(非現住建造物等放火)
[1] 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ現に人がいない建造物、艦船若くは鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2[本] 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。


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