ひったくり街道
ありがたくないこの名前がついている通りが、S県内のある私鉄駅の近くにあります。県内でもっともひったくり事件の発生率が高いので、名付けられたといいます。その場所を見に行ったところ、「なるほど、こんな名前が付いたのもうなずける」と、ひったくり発生の要因がそろっていました。現地を分析
駅から少し離れた信号を越えて、斜めにのびたその道に入ると、ほぼまっすぐの通りが長く続いています。道幅は広くなく、車一台が通れるくらいで、車道と歩道の区別のない住宅街の中の通りです。昼間ののどかな風景の中では、ときおりすれ違う人がいる程度で、住宅街としては人気がないわけではありません。車もときおり通ります。しかしなにしろ長い一本道です。その長さは私鉄の駅と駅の間の9割くらいの距離でしょうか。端から端まで歩くとけっこうな距離です。道の両側は普通の住宅が多いのですが、アパートのような集合住宅もあります。さらにいわゆる青空駐車場で、間口も広い大きな駐車場がいくつもあったようです。そしてとうもろこしや葉ものの野菜などでしょうか畑のような場所もあります。
察するにかつては農業地域であったのではないでしょうか。宅地開発が進み、住宅が次々と建ったという感じです。ちょっと離れたところには大きな集合住宅も見えました。そして、なによりも気づいたのは分かれ道いわば抜け道の多さです。三叉路、五叉路といったように右に左に四方に道が延びています。そしてどの道を行っても、その先は大通りや街道に抜けられるのです。
同じ通りでもまったく雰囲気が違う昼と夜
昼間に通ったときでも、あまりにも長い道なので、たしかに人通りはあるのだけれども遠い感じ、人や車が点在しているというようです。「これではひったくりに遭っても、遠くを歩いている人は気がつかないのではないか」と思えます。明るい時間帯でもそう感じるのですから、夕方以降の暗い時間帯ではさらに距離感を感じるようです。つまり、人影は見えてはいるけれども遠いのです。暗くなってから通ってみると、まずその暗さに驚きました。街灯はもちろんあるのですが、暗い。これは街灯をあまり明るくするとその前の家の人が「明るすぎて眠れない」などという苦情が出る場合があるので、あまりやたらに明るく出来ないものなのかもしれません。しかし、本当に暗い夜道です。街灯と街灯の間の距離もわりとあって、そこに入ってしまうとまったく見えないくらいなのです。
さらに駐車場のあたりでも、照明があまりないようで、ほとんど真っ暗といっていいほどでした。車で乗り入れるときはヘッドライトで見えるけれども、止めてある車に近づこうというときは暗闇の中を歩いて行くという感じです。道の所々に、脇の住宅か空き地のような敷地から樹木がそびえている部分があって、その下に入ると街灯の明かりが届かないところでは実に暗い。住宅がコの字になっているところでは、細い道がひっそりとあります。アパートのような建物の前は空間があり、なんとなく暗がりのようになっています。
もちろん、たくさんの方がお住まいの住宅地域ですし、その道の先にも周辺にも住宅が数多くあります。暗くなってからは、仕事帰りや買い物帰りの人が通り、日中よりは人通りがあるように感じられましたが、先に述べたように長い一本道。暗がりが多く正直言って、一人で夜、歩くのは恐い…という雰囲気でした。
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