予定より早く“チャプター11”を脱却
ワクワクする新プランを展開
順調に成長を続けてきたデルタ航空に突如として襲いかかったのが、2001年9月のアメリカ同時多発テロでした。“9.11”以降の航空需要の冷え込みと燃油費高騰で経営環境は一気に悪化し、2005年9月には米連邦政府に「チャプター11(会社再建法に基づく更正法)」を申請。それまでの運航体制を維持しつつも、大胆なリストラ策などの推進を余儀なくされたのです。
日本就航20周年を迎えた今年、経営再建のこれまでの推移と今後の取り組みを説明するため、グローバルセールス&ディストリビューション担当副社長のパム・エレッジ氏が来日しました。エレッジ氏は会見の席で、集まった記者たちに次のように話しています。
グローバルセールス&ディストリビューション担当副社長のパム・エレッジ氏(左)。日本就航20周年を機に会見が行われた(右) |
「私たちは“チャプター11”申請後の再生計画に2年間を費やすプランを立て、コスト削減を中心とする大胆な改革を進めてきました。2年では期間が足りないという懸念の声も当初はありましたが、実際にはもっと前倒しで目標を達成できたことを報告させていただきます。社員一人ひとりにコスト削減の意識を持ってもらうことで全社的なコスト構造を変え、昨年は5,800万ドルの営業利益を計上しました。これは2005年と比べ20億ドル以上の改善です。1マイル1席当たりの営業費用も削減しました。つまり収益面でもコスト面でも、デルタ航空はアメリカのキャリアの中で最も生産性の高い航空会社に生まれ変わったのです」
エレッジ氏の口調は穏やかながらも、そこには大きなことを成し遂げた自信があふれていました。再建後の新たな一歩を踏み出す今年度以降は、ワクワクするようなプランも目白押しだそうです。その具体案について質問すると、エレッジ氏は「国際的なビジネスの拡大です」ときっぱり。「デルタ航空の基盤であり、最大の強みは、世界に張り巡らせてきた多彩なネットワークですから」と。次のページでは、その国際路線の新展開を中心に紹介しましょう。
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