“質実剛健”──フランクフルトをベースに日本路線に乗務する日本人CA、加藤育子さんは、自身が籍を置くルフトハンザをそんな言葉で表現しました。

職人の国、あるいは技術の国といったイメージが、ドイツにはあります。そこで生まれ育ったルフトハンザについては、私も以前から同様な印象を抱いてきました。派手に着飾ることはしないが、必要なことは頑固なまでに貫き通す。「質実剛健」の4文字には、そんな意味が込められているように思います。

今年2月には「世界一安全なエアライン」の称号も手に入れました。その高い安全性を実現している背景には、“職人”たちのどんな取り組みがあるのか? 同エアラインの機体メンテナンスを一手に担うグループ会社、ルフトハンザテクニックの本拠を訪ねるため、私はドイツ・ハンブルグに飛びました。

── Page Index ──
【P.1】 No.1の評価にもクールな反応の技術者たち
【P.2】 世界中の1,200機を超える航空機をメンテナンス
【P.3】 小さなミスも見逃さないトリプルチェック体制
【P.4】 人間である以上、100%完璧はありえない!
【P.5】 自分自身のブラッシュアップに最大の努力



No.1の評価にもクールな反応の技術者たち


「今年、安全性に関して“No.1”の評価をいただいたとき、私たち乗務員はみんなとても誇りに思いました。日々乗務している私たちにとってこれはとても心強いことですし、お客さまを目的地まで安全にエスコートするというのは何にも優先させなければなりません。だから本当に嬉しかったです。ところが技術やメンテナンスの現場の人たちは、私たちと違ってすごくクールに受け止めていた。自分たちは当たり前の仕事をしているだけ、大事なのは一時の評価ではなく、世界一安全という称号をずっと維持・継続していくことなんだ──口もとを引き締めた彼らの頑固な表情には、そんな決意みたいなものが滲み出ていました」

今年7月に完成・オープンしたルフトハンザの新社屋──“アビエーションセンター”の視察でフランクフルトを訪れた際、加藤さんは私にそう話してくれました。

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【左】ルフトハンザの新社屋。【右】日本人CAの加藤育子さん。

加藤さんの言う「安全性No.1の評価」とは、2006年2月に『Newsweek』誌の日本版で発表された「航空会社ランキング」を指しています。世界180カ国、900社以上の安全性を評価している英航空コンサルタント会社のデータベースから、同誌が世界の主要なエアライン284社のデータを抽出。過去12年間の事故件数と10項目の重要指数をもとに、安全性に関する順位づけを行いました。その安全ランキングで、ルフトハンザは「世界一安全なエアライン」に選ばれたのです。

しかしエンジニアや整備士たちは、自分たちは当たり前の仕事をしているだけとクールに受け止めている──加藤さんのその話が、私の興味を引きつけました。では、彼らの「当たり前の仕事」とは何なのか? 技術開発やメンテナンスの現場では、どんな人たちがどんな意識をもって働いているのか? 職人の国が育んだ“世界一安全”なエアラインの舞台裏を覗いてみたい。そう考えて私が向かった先は、ベルリンに次ぐドイツ第二の都市、ハンブルグでした。自社の機体メンテナンスばかりでなく、世界中のエアラインの機体整備を請け負うルフトハンザテクニックの本拠が、そこに置かれているからです。


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