航空券/航空券関連情報

鳥に学んだパイオニアたち──part1(3ページ目)

今年はライト兄弟が世界初の動力飛行を成功させてちょうど100年。タカの飛翔から貴重なヒントを得たライト兄弟ばかりでなく、はるか昔から航空機開発の先駆者たちは鳥に憧れ、鳥に学んできたことをご存知ですか?

執筆者:秋本 俊二

◆ジョージ・ケイリー(1773~1857)
鳥を観察・研究することで「鳥の飛翔」から解放され
現代に通じる飛行機の概念を打ち立てた

揚力と推力。航空機に作用するその二つの基本的な力を最初に説いたのがイギリスの物理学者、ジョージ・ケイリー卿でした。「人間が鳥のように空を飛ぶのは体形からして不可能」と、ケイリーは羽ばたき機ではなく固定翼によって飛ぶ動力飛行機を着想。自らの手で数多くのグライダーを設計・製作しました。

1849年には三葉翼と十字型尾翼を備えた「オールド・フライヤー号」が10歳の子供を乗せて丘の上から数メートルの距離を飛ぶことに成功し、その4年後には「ニュー・フライヤー1号」が御者を乗せて153メートルを飛行しています。人を乗せた飛行機が、人類史上初めて空を舞ったのです。

後にケイリーは「空気力学の父」と呼ばれるようになりますが、彼の理論づくりのベースになったのはやはり鳥の観察でした。英国ヨークシャーに貴族の子として生まれた彼は少年の頃から鳥の飛翔に強い興味と関心を抱き、鳥たちを見上げては、幼い頭でそのメカニズムを考え続けました。そしてある日、斜め上方向から風を受けて鳥が上昇飛行するのを見たとき、鳥の羽に生じる力を上に押し上げる力(揚力)と前に押し進める力(推力)に分離するという画期的な着想を得たのでした。

鳥の動きを誰よりも細かく観察することで、彼は「鳥の飛翔」から解放され、現代に通じる飛行機の概念をつくり上げました。どんな種類の鳥をケイリーが研究の対象にしていたかという詳しい記録は、残念ながら残っていません。きっと好奇心旺盛な彼のこと、頭上をゆくあらゆる鳥に思いを馳せていたに違いありません。

【関連】鳥と飛行機 part2
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます