あの大きな旅客機ができるまで、何年かかるんですか? 私のもとに、よくそんな質問も届きます。なるほど、新聞・雑誌やインターネットなどで探しても、そうした疑問に詳しく答えてくれる記述はなかなか見つかりません。そこで今回の「業界研究シリーズ」では、新しい旅客機の開発が計画されてから完成するまでのさまざまな“プロセス”について考えてみました。

── Page Index ──
【P.1】 マーケット調査が開発の第一ステップ
【P.2】 開発計画の後ろ盾となるローンチカスタマー
【P.3】 各パーツ製造は世界中の協力メーカーで
【P.4】 活躍する“メイド・イン・ジャパン”技術
【P.5】 繰り返される過酷条件下でのテスト飛行
【P.6】 欧米の航空当局から「型式証明」を取得
【P.7】 最初の開発計画は90年代初めに浮上
【P.8】 A380完成までに費した歳月は15年以上



マーケット調査が開発の第一ステップ


新しい旅客機を開発・製造するには、まず最初にどんな旅客機をつくれば売れるかという綿密なマーケット調査が必要になります。せっかくつくっても、その旅客機をエアラインが買ってくれないと意味がありません。そこで航空機メーカーは、エアライン各社から要望を聞いたり、世の中の動きから将来こういう旅客機が求められるのではなかという市場予測をもとに、新たに開発する旅客機の「スペック」を決めていきます。

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新型機のスペックは綿密な市場分析から決まる (C)Airbus

スペック(仕様)というのは、たとえば一度に何人くらいの乗客が乗れる大きさにするか、1回のフライトでどれくらいの距離を飛べる必要があるか、また昨今のジェット燃料の高騰に対応するためにどれくらい燃費性能のいい旅客機にするか──などです。

入念なマーケット調査に基づく初期の構想段階を経て、航空機メーカーは新し旅客機の開発プランを作成し、エアライン各社に向けて最初の発表を行ないます。しかし、それで実際の開発がスタートするわけではありません。次の大事な作業として、その新型機を製造した場合に、はたしてエアライン各社は本当にその旅客機を買ってくれるのかを把握する必要があります。


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