「投資は元手がないとできない」「お金持ちになれるのは、お金を持っている人だけ」などの言葉を聞くことがあります。
確かに、お金を増やすには、ある程度の元手があった方が有利なのは事実です。しかし、「お金さえあれば豊かになれる」と考えている人ほど、お金を増やすために本当に必要なことを見落としがちです。今回は“お金持ちになるにはまずお金が必要”と思い過ぎていると、なぜ一生貧乏なままなのかを解説します。

お金持ちになるには、まずお金かもしれないが……
例えば、退職金や相続で数百万円、数千万円を一度に手にする人がいます。しかし、その後の人生を見ると、そのお金を上手に増やせる人もいれば、数年で使い切ってしまう人もいます。なぜそうなるのでしょうか。
普段から「本当に必要な買い物か」「もっと効率よく使えないか」「将来につながる支出か」と考える習慣がある人は、お金が増えても冷静に判断できます。
反対に、「もっとお金があれば何とかなる」と考えている人は、お金の使い方そのものを見直す機会が少ないため、まとまった資金を手にしても同じような使い方を繰り返してしまいます。つまり、お金の多い少ないではなく、「すでに持っているもの(習慣・知識・経験・価値観)をどう生かすか」が、実は最も重要なのです。
お金ばかりあればと思っていると失ってしまう3つのこと
お金がないよりあった方がいい。これは誰もが思うこと。しかし、お金ばかり目が行ってしまうと、すでに持っている大切な資産を失ってしまうかもしれません。
●失ってしまうもの1:判断力という資産
「高いからよい」「安いから得」という考えだけでは、お金は上手に増えません。本当に必要なものか、長く使えるものか、自分の生活に役立つものかを考える習慣が、お金を守る力になります。
この「判断力」は、お金がなくても今日から磨くことができます。日々の買い物で「本当に必要か」と問い直すクセをつければ、いざ資金ができたときに冷静な判断ができるようになるのです。お金がないからこそ、限られた資金のなかで判断力を鍛える絶好の機会なのです。
●失ってしまうもの2:知識と行動という資産
「元手がないから投資は無理」と考えている間にも、お金の知識は身につけられます。NISAや投資信託、家計管理、税金などを学ぶことには、お金はそれほどかかりません。知識がある人は、いざ資金ができたときにすぐ行動できます。一方、知識がないままでは、せっかくの資金をうまく生かせない可能性があります。
また、「お金が貯まったら始めよう」と考えていると、何年たっても最初の一歩を踏み出せません。家計簿をつける、固定費を見直す、預金金利を比較する、毎月1万円ずつからでも積み立てを始める。こうした行動は、大きなお金がなくても今日から始められます。これらの習慣が身につくと、資金が増えたときにも同じように「丁寧に管理する」という行動を続けられるのです。
むしろ、資金がない今だからこそ、焦らず知識を深め、小さな行動を積み重ねる時間があるのです。
●失ってしまうもの3:自分の価値観という資産
最も大切なのに、見落とされやすいのが「自分の価値観」です。お金ばかりを目指す人生では、自分が本当に何に価値を置くのか、何に幸福を感じるのかが見えなくなってしまいます。
自分の価値観に沿った生き方をしている人は、おのずと無駄な支出が減ります。本当に大切だと思うことにお金を使い、そうでないことには使わない。その選択が積み重なると、自然と家計が改善されていくのです。一方、「お金さえあれば幸せになれる」と考えている人は、何を買っても満足感が得られず、際限なくお金を追い続けることになってしまいます。
自分の持てるものを棚卸ししてみよう
資産というと、多くの人は預金残高ばかりを思い浮かべます。しかし、本当の資産はお金だけではありません。
失ってしまう3つのもの(判断力、知識と行動、自分の価値観)に目を向けてみてください。これらは、実はすでに持っているものもあれば、今からでも身につけられるものばかりです。さらに、これまでの仕事で培った経験や資格、人とのつながり、健康、時間といった目に見えない資産も、大切な財産です。
「今、自分が持っているもの」を生かせる人ほど、新しい収入の機会を見つけたり、お金を上手に使ったりすることができます。そして、自分の価値観に沿った選択をしていれば、おのずと必要なお金の使い方が見えてきます。
まずは、自分がすでに持っている資産(判断力、知識、行動、経験、人間関係、健康、そして自分の価値観)に目を向け、それをどう生かせるかを考えましょう。その先に、本当の豊かさが見えてきます。そして、おのずとお金もついてくるのではないでしょうか。







